ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は6月13日、2023/24年度第9回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表、図1〜2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
23/24年度トウモロコシ生産量、作付面積減少などで前年度比13.5%減の見込み
2023/24年度のトウモロコシ生産量は、前回より250万8500トン上方修正の1億1414万4300トン(前年度比13.5%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。これは、生産者が収益性悪化により作付面積を減少(同6.4%減)させたことに加え、悪天候などで単収が低下(同7.5%減)したためである。
全生産量の5分の1を占める第1期作の生産量は、2362万4400トン(同13.7%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。これは、ほとんどの主産地で天候不順により単収が前年度より低下したことに加え、例外的に生産が回復していた南部リオグランデドスル州でも、4月末から5月にかけての天候不順により単収が下方修正されたためである。収穫作業は、6月10日時点で作付面積の85.2%で行われ、7月末までに終了することが見込まれている。
全体の4分の3を占める第2期作の生産量は、前回より196万1000トン上方修正されたものの、8811万6100トン(同13.9%減)と前年度をかなり大きく下回ると見込まれている。作付面積(同6.0%減)、単収(同8.4%減)とも前年度をかなりの程度下回り、全体のトウモロコシ生産量の減少につながった。地域別に見ると、最大の生産地である中西部マットグロッソ州、ゴイアス州の一部などでは、生育期間中、降雨に恵まれ単収が増加したため、今回の生産量の上方修正につながった。一方、中西部マットグロッソドスル州、南東部サンパウロ州、南部パラナ州の一部などでは、降水量が少なく、水不足や高温により単収が低下した。収穫作業は5月に始まり、6月10日時点で作付面積の7.5%が終了した。
また、全体の2%程度を占める第3期作の生産量は、前回より41万3000トン上方修正の240万3900トン(同11.6%増)と前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。播種作業はすべての生産地で進行中であり、6月末まで続くとみられている。
23/24年度のトウモロコシ需給は、生産量が減少する一方、国内消費量は引き続き増加(前年度比5.7%増)が見込まれている。輸出量は、国内需給がひっ迫する中で、米国やアルゼンチンでの豊作を背景に両国からの国際市場への供給量が増加することから、大幅な減少(同38.7%減)が見込まれている。
23/24年度大豆生産量、南部の大雨などで下方修正し前年度比4.7%減見込み
2023/24年度の大豆生産量は、前回より33万1300トン下方修正の1億4735万3500トン(前年度比4.7%減)と前年度をやや下回ると見込まれている。大豆生産量は、悪天候などの影響により初回調査から合計で1464万9900トン(生産量全体の9.0%)下方修正されたが、これまで最大であった22/23年度に次ぐ水準を維持している。収穫作業は、6月8日時点でほぼすべて(作付面積の99.8%)終了した。
地域別に見ると、南部リオグランデドスル州の大豆生産量は、前回より123万8000トン下方修正の2019万3200トンと見込まれている。同州の大豆生産量は、前回を含めた2回合計で169万4600トン(生産量全体の8.4%)下方修正された。これは、同州で4月末から5月にかけて発生した大雨、洪水の影響により、穀粒の含水率が上昇し、品質の低下や廃棄などの損失が発生したためである。同州の大豆の収穫作業は、災害発生前に作付面積の75%で終了していたことから、大規模な被害は回避されたものの、この災害により同州の大豆の平均単収は1ヘクタール当たり2.99トンとなり、災害発生前から9.0%低下した。
(調査情報部 井田 俊二)