24年5月の国産トウモロコシ価格、需要増などからわずかに上昇
中国農業農村部は6月24日、「農産物需給動向分析月報(2024年5月)」を公表した。この中で、24年5月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに上昇した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、国内の生産地では、価格の下落を嫌って出荷調整などが行われている一方、需要面では加工企業の工場稼働率が比較的高い水準で推移し、また、飼料企業各社が在庫を積み増しているとされる。このため、市中在庫は若干減少しており、短期的な価格はわずかな上昇が見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、主要な養豚生産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、24年5月が1キログラム当たり2.18元(49円:1元=22.34円(注)、前月比1.9%高)とわずかに上昇した。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.46元(55円)となったことで、輸入と国産との価格差は前月の同0.30元(7円)から同0.28元(6円)に縮小した。
24年5月の国産大豆価格、需給は緩やかながらも前月同
2024年5月の国産大豆価格は、3カ月続けて同額となった(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面では備蓄大豆の放出開始もあり、市場供給量は安定している。需要面では各地で気温が上昇し大豆商品の消費は落ち込みつつあるが、搾油大手による買い入れが続いていることで、国産大豆価格は安定している。短期的には、引き続き一定の供給と需要が見込まれることで、需給は緩やかながらも、安定した価格の推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、24年5月が1キログラム当たり4.64元(104円、前年同月比8.6%安)と前年同月をかなりの程度下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.36元(120円、同6.3%安)と前年同月をかなりの程度下回った。同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同4.42元(99円)となったことで、輸入と国産との価格差は前月と同じく同0.94元(21円)となった。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べて低い水準にある。24年(1〜4月)の輸入量は2715万トン(前年同期比2.9%減)、輸入額は同19.6%減の148億1100万米ドル(2兆4004億円:1米ドル=162.07円(注))と報告されている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年6月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)