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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2024年9月号

24年5月の牛肉輸出量はわずかに減少、日本向けはかなり大きく増加

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24年6月の牛肉生産量は前年同月比8.6%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年6月の牛と畜頭数は254万1000頭(前年同月比12.3%減)とかなり大きく減少し、同年上半期(1〜6月)の累計では、1586万9000頭(前年同期比4.4%減)とやや減少した。上半期と畜頭数の内訳を見ると、去勢牛が763万頭(同1.6%減)、未経産牛が508万頭(同1.5%減)とそれぞれわずかに減少した。また、肉用経産牛が150万頭(同15.5%減)、乳用経産牛が141万頭(同14.3%減)といずれもかなり大きく減少した。現地報道によると、干ばつの改善に加え、乳価上昇や飼料費の下落に伴う酪農マージンの拡大により、雌牛を保留する動きが見られたとされている。
 と畜頭数が減少した一方、1頭当たりの平均枝肉重量の増加により、6月の牛肉生産量は96万9000トン(前年同月比8.6%減)と牛と畜頭数の減少幅を下回り、上半期の累計では604万5000トン(前年同期比1.6%減)とわずかに減少した(図1)。

 
24年6月の肥育牛価格は前年同月比4.7%高、肥育もと牛の輸入は大幅増
 USDA/NASSによると、2024年7月1日時点のフィードロット飼養頭数は1130万4000頭(前年同日比0.5%増)とわずかに増加した。と畜ペースの遅れに伴う肥育期間の長期化が進む中で、生体牛の輸入増が肥育牛供給の一部を補っている。同年1〜5月の生体牛輸入頭数は、96万頭(前年同期比18.7%増)と大幅に増加した。このうち、主にフィードロットへ導入される肥育もと牛の輸入頭数は、68万6000頭(同18.5%増)と大幅に増加し、輸入先別では、メキシコが61万1000頭(同19.6%増)と大幅に、カナダが7万5000頭(同10.1%増)とかなりの程度それぞれ増加した。
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、24年6月の肥育牛価格は、100ポンド当たり194.65米ドル(1キログラム当たり658円:1米ドル=153.44円(注)、前年同月比4.7%高)とやや上昇した(図2)。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末TTS相場。



 
 
24年5月の牛肉輸出量、前年同月比2.9%減も日本向けは増加
 USDA/ERSによると、2024年5月の牛肉輸出量は11万7450トン(前年同月比2.9%減)とわずかに減少し、同年1〜5月の累計では56万7562トン(前年同期比4.9%減)とやや減少した(表)。
 5月の輸出量を輸出先別に見ると、日本向けはインバウンドなどの堅調な外食需要から2万5153トン(同14.1%増)とかなり大きく増加した。一方、韓国向けは2万2475トン(同22.5%減)、中国向けは1万9299トン(同8.8%減)とそれぞれ減少した。
 24年の牛肉輸出量の見込みについてUSDAは、堅調な需要により前月予測から4万1000トン引き上げ、131万9000トン(前年比4.3%減)と見込んでいる。
 
 
(調査情報部 伊藤 瑞基)