24年7月の肉牛価格、過去5カ年平均に迫る水準に上昇
豪州の肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2024年7月以降上昇傾向が続いている。豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、直近7月31日は1キログラム当たり682豪セント(693円:1豪ドル=101.65円(注))と過去5カ年平均に迫る水準となった(図1)。現地報道によると、米国向けなど輸出需要の増加が、と畜頭数の増加と価格上昇の要因とされている。また、MLAが同年4〜5月に実施した肉用牛生産者意向調査では、調査対象となった肉用牛生産者の82%がこの先1年間に飼養頭数を維持または増頭する意向を示している。これは、今後の降雨量増加による牧草確保の見通しや、輸出需要の継続が見込まれるためとされている。このため、EYCI価格も連動して上昇傾向にあるとみられる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末TTS相場。
24年7月の週間成牛と畜頭数、約14万頭の高水準で推移
2024年7月の週間成牛と畜頭数は、同月第4週時点で13万9788頭と、前年同期の約2割増となる高水準で推移している(図2)。現地報道によると、旺盛な輸出需要に応えるため、多くの食肉処理施設では操業時間の延長などでと畜頭数を増やしており、今後も処理能力を高める計画があるとされている。
24年上半期の牛肉輸出量、中国向け以外は軒並み大幅増
豪州農林水産省(DAFF)によると、2024年6月の牛肉輸出量は10万6127トン(前年同月比12.9%増)とかなり大きく増加した(表)。また、同年1〜6月の上半期でも、60万1409トン(前年同期比25.7%増)と大幅に増加した。
輸出先別に見ると、干ばつの影響により牛肉生産量が減少している米国向けと、米国からの輸入量減少により豪州からの輸入を高めている日本向けがそれぞれ堅調に推移している。6月の輸出量は、米国向けが2万8746トン(前年同月比39.6%増)、日本向けが2万5611トン(同36.0%増)、また、1〜6月の上半期では米国向けが15万5430トン(前年同期比74.6%増)、日本向けが13万3910トン(同30.7%増)といずれも大幅に増加している。
一方で、中国向けは国内の景気後退などにより、6月は1万3206トン(前年同月比32.6%減)、1〜6月の上半期では8万9794トン(前年同期比9.2%減)と主要輸出先の中で唯一減少している。
中国は24年5月末、過去数年間にわたり豪州の食肉加工施設に課していた輸入停止措置を解除(7カ所中5カ所)したが、6月の同国向けの輸出量では、これまでと同様に輸出増の兆候は見らず、今後の動向が注目される。
(調査情報部 国際調査グループ)