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海外需給【牛肉/NZ】畜産の情報 2024年9月号

米国向け牛肉輸出が堅調、年度累計(10月〜6月)は前年同期比17.5%増

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24年5月の牛と畜頭数、5年ぶりの高水準
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年5月の牛と畜頭数は35万8922頭(前年同月比1.7%増)と2カ月連続で前年同月を上回っており、単月の実績としては19年来の高い水準になった(図)。と畜頭数の内訳では、雄牛(3万2149頭、同16.1%減)を除き、去勢牛(6万6161頭、同0.8%増)、未経産牛(5万6345頭、同6.0%増)、経産牛(20万4267頭、同4.4%増)がいずれも増加した。また、23/24年度(10月〜翌9月)の5月までの累計でも207万5239頭(前年同期比2.3%増)とわずかに増加した。この要因についてニュージーランド第一次産業省は、為替相場が米ドル安の状況にあることも後押しとなり、米国向けの牛肉輸出が比較的堅調に推移したことなどを挙げている。


 
 
24年6月の牛肉輸出量、中国を抜き米国が最大の市場へ
 Stats NZによると、2024年6月の牛肉輸出量は5万907トン(前年同月比1.1%増)と前年同月をわずかに上回った(表1)。輸出先別に見ると、3カ月連続で最大の輸出先となった米国向けは2万1761トン(同5.3%増)とやや増加している一方で、中国向けは1万2324トン(同33.6%減)と大幅に減少している。米ドル安による国際競争力の向上に加え、放牧主体の牛肉生産が米国の加工向け赤身肉需要に合致していること、中国経済の低迷が継続していることが要因とされており、今後も加工向けを中心に米国への堅調な輸出が続くと見込まれている。また、日本向けは4744トン(同120.1%増)と大幅に増加しており、23/24年度(10月〜翌9月)の6月までの累計でも2万9780トン(前年同期比59.4%増)と、近年で最も好調な輸出実績を記録している。これは、米国が干ばつの影響により牛肉生産量が減少し、豪州産の加工向け牛肉の輸入を増やしていることから、日本ではその代替としてNZ産牛肉の取り扱いを増やしているものと考えられる。

 
23/24年度の牛肉生産量と輸出量、米国向けは好調も依然として前年割れ見込む
 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)が公表した直近の2023/24年度牛肉需給見通しによると、同年度の輸出向け牛と畜頭数は、262万2000頭(注)(前年度比2.1%減)と前回の見通しから上方修正されたが、引き続きわずかな減少が見込まれている(表2)。上方修正の要因としてBLNZは、22/23年度に生産者支払乳価の下落や生産コストの高騰から経産牛や未経産牛の淘汰(とうた)が進められたことで、23/24年度は雌牛の保留傾向が強まるとの予測に対し、堅調な米国向け牛肉輸出を反映して特に未経産牛のと畜頭数を上方修正したことを挙げている。これにより、同年度の牛肉生産量は67万2000トン(注)(同3.2%減)、牛肉輸出量も48万0000トン(注)(同3.2%減)と、いずれも前回見通しから上方修正されたが、依然として前年割れが見込まれている。
 
(注)BLNZの資料では、千頭・千トン単位以下の値について確認することができないため、便宜的に0と表示している。

 
(調査情報部 渡部 卓人)