24年の豚肉生産量は前年比2.1%増の見込み
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は7月12日、2024年のメキシコの豚肉需給見通しを発表した。これによると、同年の豚肉生産量は、豚肉需要の高まりや飼料価格の緩和、衛生管理技術の向上などから159万トン(前年比2.1%増)とわずかな増加が見込まれている(表1)。さらに輸入量は141万トン(同4.1%増)とやや増加が見込まれている。一方、豚肉消費量は、牛肉や鶏肉の価格上昇に伴う代替需要から274万トン(同3.3%増)とやや増加が見込まれている。量は少ないものの豚肉輸出量は、日本や米国での堅調な需要見込みを追い風に26万トン(同0.8%増)と前年をわずかに上回ると予測している。
24年1〜4月の豚肉輸入量、前年同期比8.6%増
メキシコ国立統計地理情報院(INEGI)によると、2024年1〜4月の輸入量は43万2000トン(前年同期比8.6%増)とかなりの程度増加した(表2)。輸入先別に見ると、輸入量の9割近くを占める米国は、小売や外食産業からの需要増により38万3900トン(同9.2%増)とかなりの程度増加した。一方、ブラジルからの輸入量は、23年11月にメキシコ豚肉生産者協会(Opormex)が「ブラジル産豚肉の輸入に関し国際的な衛生要件を満たしていない」として裁判所に輸入停止を提訴して以降、輸入業者が自主的に輸入を控えており、600トン(同16.1%減)と少量にとどまった。
24年1〜4月の豚肉輸出量は5万8000トン(同3.7%増)とやや増加した(表3)。輸出先別に見ると、輸出先第1位の日本向けは4万5500トン(同3.8%増)、第2位の米国向けは8600トン(同5.3%増)といずれもやや増加した。一方、韓国向けは米国産との競合などから3800トン(同1.3%減)とわずかに減少した。
生体豚価格は24年4月以降、前年同月を上回って推移
メキシコ国家情報市場統合システム(SNIIM)によると、2024年6月の生体豚価格は、1キログラム当たり40.45ペソ(368円:1ペソ=9.11円(注)、前年同月比13.9%高)とかなり大きく上昇した(図)。同価格は、国内の豚肉生産量が増加している中で、旺盛な需要を背景に24年4月以降、前年同月を上回って推移している。一方、同年6月の豚枝肉価格は、2カ月連続で上昇しているものの同62.50ペソ(569円、同3.1%安)と前年同月をやや下回った。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末TTS相場。
(調査情報部 小林 大祐)