24年1〜3月の豚肉生産量は前年同期比0.9%減
ブラジル地理統計院(IBGE)によると、2024年1〜3月の豚肉生産量は128万1000トン(前年同期比0.9%減、速報値)と前年同期をわずかに下回った(図1)。同国の年間豚肉生産量は、国内外からの需要の増加を背景に23年まで10年連続の増加となったが、23年は529万9000トン(前年比2.2%増)とわずかな増加にとどまっている。
24年6月の生体豚価格は前年同月比21.3%高
サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2024年6月のブラジルの生体豚価格(パラナ州)は、1キログラム当たり6.66レアル(180円:1レアル=27.10円(注)、前年同月比21.3%高)となった(図2)。豚肉生産量が安定的に推移する中、国内外からの堅調な需要が価格を後押ししたとみられる。一方、同月の豚肉生産コスト指数は334.07で前年同月(同329.58)をわずかに上回る水準(同1.4%高)にとどまっていることから、生産者の収益性は改善しているものとみられる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末TTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
24年1〜6月の豚肉輸出量は前年同期比0.6%増、中国向けは同4割減
ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2024年1〜6月の豚肉輸出量は52万9260トン(前年同期比0.6%増)と前年同期をわずかに上回った(表)。同国の年間豚肉輸出量は、3年連続で100万トンを超えているが、24年1〜6月も同程度のペースで推移している。一方、輸出額は、輸出単価の低下から同8.6%減と前年同期をかなりの程度下回った。
輸出先別に見ると、最大の輸出先である中国向けは11万7341トン(同42.5%減)と前年同期を大幅に下回った。同国向けは、中国国内での豚肉需給の緩和を背景に23年8月以降前年同月を大幅に下回っており、24年3月以降の輸出量は月間2万トンを下回る水準となった。この結果、同期の中国向けの輸出比率は22.2%となり、前年同期(38.8%)から16.6ポイント低下した。一方、フィリピン、チリ、シンガポール、日本、韓国、メキシコといったアジアや米州向けへのシフトが進んでおり、中国向けの落ち込みを補完した。特に主要輸出先のうち、日本、韓国およびメキシコ向けは同2倍以上の増加となった。
(調査情報部 井田 俊二)