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海外需給【牛乳・乳製品/米国】畜産の情報 2024年9月号

24年6月の生乳生産量は前年同月比1.0%減、価格は高値で推移

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24年6月の生乳生産量は前年同月比1.0%減、マージンは大幅に上昇
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年6月の生乳生産量は、851万3000トン(前年同月比1.0%減)とわずかに減少した(図1)。これは、平均気温が例年より高く牛の暑熱ストレスが増加したためとされている。
 米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、24年6月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり22.8米ドル(1キログラム当たり77.1円:1米ドル=153.44円(注1)、同27.4%高)と大幅に上昇した(図2)。また、飼料価格の下落も相まって酪農マージン(注2)は同11.66米ドル(同39.4円、同約3.2倍)と大幅に上昇している。24年の生乳生産量についてUSDAは、酪農マージンの上昇により各農場の生産体制の拡大が見込まれる一方で、暑熱ストレスや乳牛の供用期間の延長による乳牛更新の遅れなどから1頭当たりの生乳生産量は伸び悩み、約1億292万トン(前年比0.2%増)と予測している。

 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2024年7月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補てんが発動される。
 


 
24年6月のチーズおよびバターの卸売価格、前年同月比大幅高
 米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2024年6月のチーズ卸売価格は1ポンド当たり1.89米ドル(1キログラム当たり639円、前年同月比34.9%高)、バター卸売価格も同3.09米ドル(同1045円、同29.5%高)とそれぞれ大幅に上昇した(図3、4)。6月の月末在庫量を見ると、チーズは64.6万トン(同5.8%減)とやや減少した。また、バターも需給がひっ迫していたものの、3月以降、昨年と比べると在庫量が多く推移していたため16.9万トン(同6.8%増)とかなりの程度増加した。



 
 
24年5月の乳製品輸出量、チーズがけん引して乳脂肪分ベースで大幅増
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年5月の乳製品輸出量は乳脂肪分ベースで前年同月比18.4%増、無脂乳固形分ベースで同7.7%減となった。品目別に見ると、チーズは国際的な価格競争力が優位なことで、4万8000トン(前年同月比46.5%増)と大幅に増加し、乳脂肪分ベースの輸出増をけん引した(表)。WPC(タンパク質濃縮ホエイパウダー)は、健康志向の高まりによる中国向けの輸出増により、1万2800トン(同3.6%増)とやや増加した。一方、脱脂粉乳は東南アジアでの需要減などにより、6万600トン(同24.2%減)と大幅に減少した。

 
(調査情報部 中島 勝紘)