畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 24年7月のバター価格、在庫確保の動きから上昇を継続

海外需給【牛乳・乳製品/EU】畜産の情報 2024年9月号

24年7月のバター価格、在庫確保の動きから上昇を継続

印刷ページ
24年5月の生乳出荷量、前年同月比0.8%増
 欧州委員会によると、2024年5月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1348万2000トン(前年同月比0.8%増)と前年同月をわずかに上回った(図1、表)。主要生産国別に見ると、オランダ(同1.5%減)、アイルランド(同2.3%減)およびベルギー(同0.7%減)を除き、いずれも前年同月並みもしくは前年同月を上回った。アイルランドでは、24年当初の悪天候による牧草の生育不良などが影響し、生乳出荷量は15カ月連続で前年同月を下回っているが、5月の減少幅は前月に比べて縮小した。一方、生乳出荷量の増加が続くポーランド(同4.5%増)は、32カ月連続で前年同月を上回ったが、欧州委員会によるとポーランドを含む東欧では5月中下旬の降水量が不足していることから、牧草や飼料穀物への影響が懸念される。
 
 

 
24年6月の生乳取引価格、2カ月連続で前年同月を上回る
 欧州委員会によると、2024年6月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり46.10ユーロ(1キログラム当たり76.71円:1ユーロ=166.39円(注)、前年同月比4.1%高)と2カ月連続で前年同月を上回った(図2)。生乳取引価格は7カ月連続で、同46ユーロ前後と安定しているが、過去5年(19〜23年)の平均生乳取引価格と比べると、同月は17%程度高い水準にあり、これも生乳出荷量の増加に寄与しているとみられる。なお、直近のバター価格は上昇基調にあり、今後生乳取引価格の上昇も予想される。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年7月末TTS相場。

 
24年7月の乳製品価格、バターを中心に前年同期を上回る
 欧州委員会によると、2024年7月21日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、脱脂粉乳が100キログラム当たり235ユーロ(1キログラム当たり391円、前年同期比3.3%高)、全粉乳が同380ユーロ(同632円、同11.4%高)、チーズが同389ユーロ(同647円、同3.0%高)、ホエイパウダーが同80ユーロ(同133円、同22.5%高)といずれも前年同期を上回った(図3)。
 中でもバターは、同654ユーロ(同1088円、同44.2%高)と前年同期を大幅に上回った。米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、夏の休暇時期で季節的な市場停滞は見られるものの、秋から冬の需要に向けて在庫を確保する動きから、平年を上回る価格で推移しているとされる。
 

(調査情報部 渡辺 淳一)