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調査・報告 佐賀大 畜産の情報 2024年9月号

黒毛和種のICT活用型匂いセンサーを用いた超早期妊娠鑑定技術の開発

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佐賀大学農学部 准教授 上野 大介

【要約】

 黒毛和種の繁殖管理の現場では適切なタイミングで人工授精することが必須であるが、発情行動を呈する“発情個体”と、発情と類似した疑似発情行動をとる“超早期妊娠個体”の違いを判別することは困難である。本研究グループでは “体臭(匂い)”を指標とした“超早期妊娠鑑定技術”の開発に着目した。繁殖雌牛の発情および非発情個体から頸管粘液を採取して嗅覚官能評価に供試したところ、非発情(妊娠)個体から特徴的な“強い獣臭”が感知された。また、匂い嗅ぎガスクロマトグラフ分析の結果、非発情(妊娠)個体に特徴的な匂い活性として“獣臭”を1カ所で感知した。一方で、ガスクロマトグラフ質量分析計分析およびe-noseニオイセンサー分析においては、発情と非発情(妊娠)個体の試料の間で差を検出することができなかった。

1 背景と目的

 黒毛和種は日本の誇る肉用種であり、和牛の飼育頭数の90%以上を占める重要な品種である。主として肉用牛経営は、繁殖雌牛を飼い、子牛を生産して販売する繁殖経営と、子牛を購入し育てて肥育牛として出荷する肥育経営に分かれている。繁殖経営に重要な要件としては適切な繁殖管理が挙げられ、中でも発情状態を正確に鑑定し、適切なタイミングで人工授精に供することが必須の技術となる。しかし、近年の担い手不足により、繁殖牛の綿密な繁殖管理は困難であるのが現状となっている。そのような中、省力化を進めるスマート畜産技術の一環として発情鑑定技術が実用化されており、現状では“行動センサー”を用いた行動解析による鑑定が普及してきている。行動センサーによる発情鑑定は広く普及し、成果を上げているものの、発情行動を呈する“発情個体”と、発情と類似した“疑似発情行動”をとる“超早期妊娠個体”の違いを判別することは困難である(図1)。もし、超早期妊娠個体を発情個体として誤鑑定してしまった場合、不要な人工授精による経済的損失があるだけではなく、流産の確率が上がるとの報告もあり、畜産農家の経営にとって大きな負担となる。従って“超早期妊娠個体”の鑑定技術の開発に対するニーズは高い。



 
 本研究グループでは“行動”に変わる全く新しい生体計測技術として、黒毛和種の発する“体臭(匂い)”に着目した。これまでもさまざまな手法による発情・妊娠鑑定法が試みられてきたが、“匂い”を利用した例は皆無である。“嗅覚”は五感の中でも最後のフロンティアといわれ、畜産分野における匂いに関連した情報は圧倒的に不足している。従って、黒毛和種の匂いに着目する本研究は、畜産分野における未知の領域を切り開き、イノベーションを引き起こす可能性を秘めたものであると期待される。
 本研究では“超早期妊娠鑑定”の実用化に向けて、匂いに着目した判別法を検証していくが、最終的に生産現場に落とし込むためには、誰でも簡易に匂いを判別できる手法が必要となる。その手法として本研究では、匂いセンサーの一種である“e-nose(イーノーズ)ニオイセンサー(以下「ニオイセンサー」という)(注1)”の利用を検討している。
 ニオイセンサーは簡易判別法として有効である一方で、(1)“反応している対象物質が不明”であること(2)化学分析と比較して“感度が低いこと”―が弱点として挙げられる。そのため、ニオイセンサーでは和牛生体試料の匂いを検出できない上に、検出できたとしてもその対象物質やメカニズムを解析することはできない。和牛の生体試料から発せられる匂い物質を同定し、匂いの変化を科学的に解明するため、本研究グループでは匂い物質の同定に特化した“匂い物質同定システム(OASIS:Odor/ Aroma Substances Identification System(注2))”を活用した。これまでも本研究グループではOASISを活用することで黒毛和種の皮膚ガス物質の同定2)など、多様な試料の匂い物質を同定してきた。本研究ではこれら技術を駆使することで、超早期妊娠個体に特有の匂い物質の同定を試みる。
 本研究では“超早期妊娠鑑定技術”の開発に向けた基礎研究として、“頸管粘液の匂い”に着目した。頸管粘液は繁殖雌牛の膣内から非侵襲的に採取可能な生体試料である。実際、頸管粘液はこれまでも分泌量や粘度の変化の観察による発情判定に利用されてきた。頸管粘液は、生産現場における発情や妊娠の判別技術に利用する試料として有望であるといえる。本研究では、発情および非発情個体から頸管粘液を採取し、それら試料を対象として(1)嗅覚官能試験(2)化学分析(3)ニオイセンサー分析―という三つの手法を用いて、発情と非発情個体の判別に関する基礎データの集積を目的とした。
 
(注1)匂い物質の吸着特性に対する選択性の異なる検出素子を複数個搭載した検出デバイスのことであり1)、日本語では人工鼻、嗅覚センサー、匂いセンサーなどと呼ばれている。
(注2)匂い物質を“官能的”に検出(感知)するヒトの嗅覚と、“分析化学的”に匂い物質を分離・検出する技術とを組み合わせた手法であり、“匂い嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O:Gas Chromatography-Olfactometry(後述))”を主要な技術としている。

2 試料と方法

(1)対象牛と頸管粘液試料の採取

 黒毛和種繁殖雌牛は、研究協力者として参画している佐賀県畜産試験場で飼育されている個体を対象とした(写真1)。本研究ではホルモン剤処置により“発情”状態の繁殖雌牛を作出した。比較対象となる非発情個体は、“非発情(非妊娠)”と“非発情(妊娠)”の2種を定義し、発情と同じタイミングで試料を採取した。分析対象とした生体試料としては“頸管粘液”に着目し、頸管粘液採取専用器具(メトリチェック)を用いて採取した。頸管粘液試料採取は2022年2月・3月・4月、23年2月・3月に実施した。調査開始当初である、22年2月・3月・4月は、発情、非発情(非妊娠)、非発情(妊娠)の3区分を設定して試料を採取し、23年2月・3月は発情および非発情(妊娠)の2区分で採取した。合計試料数としては、発情個体9検体、非発情(非妊娠)個体6検体、非発情(妊娠)個体9検体を採取した(表1)。また、バックグラウンドとして畜舎大気および牛ふんを試料として採取した。採取した試料は無臭処理されたガラス容器に保管し、速やかに実験室へ輸送した。





 
 

(2)嗅覚官能評価

 嗅覚官能評価とは、ヒトの嗅覚で捉えた匂いを言葉で表現して数値化するための手法である。ヒトの嗅覚は個人差があることから、嗅覚官能評価の嗅ぎ手(パネル)の選定には十分な配慮が必要である。パネルの選定は悪臭防止法に基づく臭気指数の測定の方法3)に準拠し、5種基準臭(パネル選定用基準臭、第一薬品産業)を嗅ぎ分ける嗅覚試験に合格した20代の女性4名、男性4名(いずれも基礎疾患および喫煙歴は無し)を採用した。採取された頸管粘液試料の嗅覚官能評価では、“匂い強度”と“匂いの印象”を評価した(写真2)。匂い強度は、試料内容を隠した容器から匂いを直接嗅ぎ、評価した。匂い強度表示法は、0:無臭、1:やっと感知できる、2:何かわかる、3:楽に感知できる、4:強い、5:強烈―という表記をした。匂いの印象はパネルによる自由回答とした。
 2023年2月に採取された試料については、発情個体3検体および非発情(妊娠)個体3検体を利用し“判別分析”を試みた。発情および非発情個体試料それぞれ1検体を基準臭として事前にパネルが匂いを嗅ぎ、そこに残りの発情および非発情個体試料それぞれ2検体(計4検体)をランダムに提供し、匂いの類似度を判別した。正解率(%)は、全検体数のうち、正解した検体数を割合として算出した。


 
 

(3)匂い物質の捕集法およびGC-O分析法

 本研究では頸管粘液を対象とした化学分析によって、主要な匂い物質の同定を試みた。それぞれの試料をガラスフラスコ内に封入して吸着材で捕集し、匂い嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O)を用いて分析した(図2)。GC-Oとは、ガスクロマトグラフによって匂い物質を分離し、溶出してくる匂い物質をヒトの嗅覚と検出器を用いて検出するという、機器分析と官能試験を融合させたユニークな機器である。
 匂い物質を含む揮発性有機化合物(VOCs)の捕集法、およびGC-Oの分析法は既報に従った4)。VOCsはMonoTrap(RGPS:ジーエルサイエンス、東京)を用いて捕集した。試料を採取した直後に、ガラス容器のヘッドスペースにMonoTrapを投入し、1時間捕集した。VOCsを捕集したMonoTrapは、速やかに加熱脱着装置用の脱着管に移して真鍮しんちゅうキャップを取り付けた。試料は4度で保管し、3時間以内に機器分析に供試した。

 

(4)GC-MSノンターゲット分析法

 匂い物質を含む幅広いVOCsを検出するため、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用い、GC-MSノンターゲット分析(注3)に供試した。分析条件は既報5)に従い、検出にはElectron Impact(EI)スキャンモード(m/z 40-250)を用いた。分析前に混合アルカン溶液(C6〜C30)を測定し、保持指標を算出した。捕集済みMonoTrapに内部標準物質(シクロヘキサノン:1ナノグラム相当)を添加し、HandyTDを用いて注入した。GC-MSノンターゲット分析法で得られたデータは、特徴的なピークの抽出に向けて多変量解析(主成分分析)に供試した。GC-MSマスクロマトグラムのデコンボリューション(注4)、サンプル間のピーク保持時間の補正およびピーク高さの算出(ピークアライメント)には、津川ら6)によって開発されたMS-DIAL7)を用いた。主成分分析にはJMP12を用い、負荷量の大きいピークを抽出した。
 
(注3)GC-MSノンターゲット分析とは、GC-MSを用いて試料中に含まれる未知成分を網羅的に検出・同定する分析手法のこと。特定の成分をターゲットとしない点が特徴であり、環境試料や食品など、複雑な組成を持つ試料から広範囲の物質を同定する際に用いられる。
(注4)デコンボリューションとは、GC-MS分析のクロマトグラム上で複数のピークが重なった場合に、マスクロマトグラムの挙動の違いからそれぞれのピークのマススペクトルを分離抽出する処理のこと。天然物試料のような複雑な試料の場合でも、正確なマススペクトルを得ることが可能となる。
 

(5)ニオイセンサー分析

 発情および非発情(妊娠)の個体から採取された頸管粘液の特徴的な匂いを、ニオイセンサーを用いて分析した(図3上)。これまで販売されている一般的な匂いセンサーは検出素子が1種類のみであることが多く、“匂いの強弱”が判別できるのみで、“匂いの違い”を判別することは不可能である。一方で、本センサーは水晶振動子型(QCM:Quartz Crystal Microbalance)の検出素子を採用し、異なる匂い物質に感度を有する35種の検出素子を搭載している。すなわち、本センサーを活用することで匂いの強弱だけではなく、匂いの違いを35種のセンサー素子の反応量の変化という形で数値化し、それらをパターンとして認識・判別することが可能となる(図3下)。本研究では、QCM型ニオイセンサー(アロマコーダーV2:アロマビット、東京)、およびサンプル調整器(アロマサンプラー:アロマビット、東京)を使用した(以下「アロマコーダー」と総称する)。解析には専用のデータ解析システムであるAromalyzerを利用し、分析時間における最大感度値(最大差分)を数値化するとともに、主成分分析を用いてグルーピングした。

3 結果と考察

(1)嗅覚官能評価

 採取した頸管粘液試料の嗅覚官能評価で得られた匂いの印象について、その出現頻度をまとめた(表2)。 2022年・23年に実施した5回の採取試料を合わせた発情個体9検体および非発情(妊娠・非妊娠)15検体を対象とした嗅覚官能評価の結果を比較すると、発情個体は“弱い獣臭、生ぐさ臭、酸臭”が、非発情個体は“強い獣臭”が特徴的な匂いの印象として感知された。非発情(妊娠)と非発情(非妊娠)の間に、匂いの印象の明確な違いは感知されなかった。これら結果から、発情個体と非発情個体は嗅覚官能評価によって判別できる可能性が示唆された。
 上述した嗅覚官能評価の結果により、発情個体と非発情個体が匂いで判別できる可能性が示唆されたことから、嗅覚による判別分析を試みた。試料は、23年2月に採取された発情個体3検体および非発情(妊娠)個体3検体を対象とした。発情および非発情個体試料それぞれ1検体を基準試料として事前にパネルが匂いを嗅ぎ、残りの発情および非発情個体試料それぞれ2検体(計4検体)をランダムに提供し、匂いの類似度を判別した。判別分析の結果、正解率は平均値として50%(25〜75%:パネル4名)であった。試料数およびパネル数が限られていることから、今後は検体数を増やし、再現性を確認することが望まれる。
 

 

(2)GC-MSノンターゲット分析

 上述の嗅覚官能評価によって、発情と非発情(妊娠)を匂いで判別できる可能性が示された。そこで、それら試料の匂い物質をGC-MSノンターゲット分析に供試し、クロマトグラムの比較による発情と非発情(妊娠)の判別に着手した。試料は、2023年3月に採取された発情と非発情(妊娠)個体の頸管粘液試料、牛ふん試料、および畜舎雰囲気試料を利用し、容器のヘッドスペースからVOCsを固相吸着剤で捕集し、GC-MSノンターゲット分析に供試した。
 GC-MSノンターゲット分析によって得られたマスクロマトグラムには、多数のピークが確認された。GC-MSマスクロマトグラムを対象としてデコンボリューションおよびピークアライメント処理を施し、主成分分析を用いて特徴的なピークの抽出を試みた。解析の結果、多数検出されていたピークは、バックグラウンドである畜舎雰囲気および牛ふん試料のピークと相殺され、発情と非発情(妊娠)個体のVOCsを明確に分けることができなかった(図4)。嗅覚官能評価では発情と非発情(妊娠)の違いを判別できたが、GC-MSノンターゲット分析では判別できなかった理由として、頸管粘液試料から放出されているVOCsは嗅覚閾値いきちが低い物質(極低濃度でヒトの嗅覚で感知可能な物質)であり、GC-MSの検出感度と比較して量的に少ないことが推察された。
 

 

(3)GC-O分析

 これまで生体ガスの分析にはGC-MSを利用するのが一般的であったが、本研究の結果から頸管粘液試料から放出されているVOCsは嗅覚閾値が低い物質(極低濃度でヒトの嗅覚で感知可能な物質)であるため、GC-MSの検出感度と比較して量的に少ないことが想定された。頸管粘液試料のVOCsを検出するため、本研究では匂い物質をより高感度で匂い物質を検出できると期待される匂い嗅ぎガスクロマトグラフ(GC-O)を利用した。本システムは、ガスクロマトグラフによって匂い物質を分離し、溶出してくる匂い物質をヒトの嗅覚と水素炎イオン化検出器(FID)を用いて検出する。パネル(評価者)の嗅覚評価によって、物質によってはGC-MSの約1000倍の感度を得ることができる8)と期待される。
 試料は、2023年3月に採取された発情と非発情(妊娠)個体の頸管粘液試料を対象とした。それら試料を現場で採取し、速やかに容器のヘッドスペースにおいてVOCsを固相吸着剤で捕集し、GC-O分析に供試した。GC-O分析によって得られた頸管粘液試料のFIDクロマトグラムを示した(図5)。発情と非発情(妊娠)、および畜舎雰囲気の結果を比較し、重複する匂い活性(OA)を除外したところ、非発情(妊娠)のクロマトグラム上に1カ所から特徴的な匂いの印象である「獣臭」が感知された(OA-1)。OA-1は非発情(妊娠)個体に特徴的な匂いであるため、将来的に物質同定することができれば、非発情(妊娠)個体の判別に向けた指標物質として利用できる可能性がある。


 
 

(4)ニオイセンサー分析

 嗅覚官能評価およびGC-O分析によって、発情および非発情(妊娠)個体の頸管粘液試料はそれぞれ特徴的な匂いをもつことが明らかになった。そこで、ニオイセンサー分析によってその匂いの違いが判別できるか検証した。試料は、2023年3月に採取された発情と非発情(妊娠)個体の頸管粘液試料(それぞれ3試料)を利用した。
 アロマコーダー分析で得られた水晶振動子振動数変化値のリアルタイムモニタリングデータをプロットして波形を確認したところ、その挙動は安定しており、大きなノイズなどは確認されなかった。すべてのQCM型検出素子(35種)で得られた10秒間の時系列データをすべてAromalyzerに入力し、最大差分を自動抽出するとともに、その結果を主成分分析で解析した。
 主成分分析の結果、ニオイセンサー分析では発情と非発情(妊娠)個体の試料の間に差を検出することができなかった(図6)。その理由として、頸管粘液から放散されるVOCsの量が極めて微量であり、QCM型検出素子の感度には足りなかったことが挙げられる。また、QCM型検出素子は水蒸気の影響を受けやすいことから、水分の多い頸管粘液試料から同時に放散される水蒸気が検出素子に影響し、微量の匂い物質の差が検出できなかったものと推察された。

4 まとめ

 本研究では、黒毛和種繁殖雌牛の発情および非発情個体から頸管粘液を採取し、(1)嗅覚官能試験(2)化学分析(3)ニオイセンサー分析―という三つの手法を用いて、発情と非発情個体の判別に関する基礎データの集積を目的とした。嗅覚官能評価においては、頸管粘液試料の匂いの印象によって、発情および非発情をおおよそ判別できる可能性が示唆された。化学分析においては、 GC-O/FIDを利用した結果、非発情(妊娠)のアロマグラム上に1カ所から特徴的な匂い活性(獣臭)が感知された。将来的に特徴的な匂いである獣臭をGC-MSを用いて同定することが望まれる。加えて、これら試料をニオイセンサー分析に供試したところ、発情と非発情(妊娠)個体の試料の間に差を検出することができなかった。
 将来的な研究の成果としてセンサーによる判別が可能となった場合、小型化した廉価れんかな“普及モデル”の開発をメーカーと協議している。普及モデルのニオイセンサーが完成すれば、それらをインターネットに接続(ICT化)し、黒毛和種の超早期妊娠個体の状況を常時監視できる技術の開発につなげていくことを計画している(写真3)。本取り組みは新たな“スマート畜産技術”として、業界における人手不足に対応する革新的な技術になると期待される。


 
 
 
引用文献
1)Arshak, K., Moore, E., Lyons, G. M., Harris, J., Clifford, S.: A review of gas sensors employed in electronic nose applications, Sens. Rev., 24, 181-198, (2004). 10.1108/02602280410525977.
2)松本英顕, 江原史雄, 小山玲音, 笹川智史, 原口智和, 宮本英揮, 龍田典子, 上野大介: におい嗅ぎガスクロマトグラフを用いた和牛の皮膚ガス分析技術の基礎的検討, におい・かおり環境学会誌, 52, 233-239, (2021). https://doi.org/10.2171/jao.52.233.
3)環境省: 三点比較式フラスコ法について,   https://www.env.go.jp/air/akushu/olf_manual.html, (2017).
4)小山玲音, 出村幹英, 野間誠司, 林信行, 原口智和, 宮本英揮, 笹川智史, 龍田典子, 上野大介: スミレモTrentepohlia aurea (Linnaeus) Martiusのにおい嗅ぎガスクロマトグラフィーによるにおい物質の同定, におい・かおり環境学会誌, 52, 226-232, (2021). https://doi.org/10.2171/jao.52.226.
5)笹川智史, 古藤田信博, 田中義樹, 池田繁成, 松元篤史, 佐藤克久, 上村智子, 小山玲音, 上野大介: 貯蔵臭をもつウンシュウミカンの選別法開発(第1報)-可食部における貯蔵臭物質の同定-, におい・かおり環境学会誌, 53, 357-365, (2022). https://doi.org/10.2171/jao.53.357.
6)Tsugawa, H., Cajka, T., Kind, T., Ma, Y., Higgins, B., Ikeda, K., Kanazawa, M., VanderGheynst, J., Fiehn, O., Arita, M.: MS-DIAL: data-independent MS/MS deconvolution for comprehensive metabolome analysis, Nat. Methods, 12, 523-526, (2015). https://doi.org/10.1038/nmeth.3393.
7)MS-DIAL: http://prime.psc.riken.jp/compms/index.html,   Accessed in January 2023, (2023).
8)Young, W. F., Horth, H., Crane, R., Ogden, T., Arnott, M.: Taste and odour threshold concentrations of potential potable water contaminants, Water Res., 30, 331-340, (1996). https://doi.org/10.1016/0043-1354(95)00173-5.