畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > 24年の牛肉生産量は3年連続の増加で過去最大の見込み

海外需給【牛肉/ブラジル】畜産の情報 2024年10月号

24年の牛肉生産量は3年連続の増加で過去最大の見込み

印刷ページ
24年の牛肉生産量は17年ぶりに1000万トンを超える見込み
 ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、2024年のブラジルの牛肉生産量は1019万6000トン(前年比7.1%増)とかなりの程度増加し、3年連続の増加が見込まれている(図1)。牛肉生産量が1000万トンを超えるのは07年以来の17年ぶりとなり、これまで最大であった06年(1018万4000トン)の記録を上回るものとなる。また、同年の牛飼養頭数は2億4293万頭(前年比1.8%増)とわずかに増加し、6年連続の増加とされている。

 
24年1〜7月の牛肉輸出量は前年同期比31.9%増
 ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2024年1〜7月の牛肉輸出量は、137万6236トン(前年同期比31.9%増)と大幅に増加した(表)。これは、生産コストの低下や米ドルに対するレアル安により同国産牛肉の国際競争力が高まったことなどが要因とみられる。特に24年7月は23万7267トンと、単月としては記録的な牛肉輸出量となった(図2)。一方、1〜7月の牛肉輸出単価は1トン当たり4495米ドル(65万5371円:1米ドル=145.80円(注)、同8.2%安)とかなりの程度低下した。
 輸出先別に見ると、最大の中国向けは68万6031トン(同13.4%増)とかなり大きく増加した。前年の23年2月にブラジル北部パラー州で非定型BSEに感染した牛が確認され、同国向け輸出が1カ月間(2月23日〜3月22日)停止したことが、24年の輸出量の前年同期比増につながっている。ただし、輸出量全体に占める中国向け輸出量の割合は49.8%であり、前年同期(58.0%)から8.2ポイント低下した。また、アラブ首長国連邦(UAE)向けは10万3791トン(同3.2倍)と大幅に増加した。これは、同国での外食産業の成長や消費者の嗜好しこうの変化によりブラジル産牛肉への需要が高まったことによる。この結果、UAE向けは中国に次ぐ輸出先(前年同期は第5位)に成長した。このほか、米国、フィリピン、ロシア向けなどが大幅に増加している。




 
 
24年肥育牛価格は6月以降、緩やかな上昇に転じて推移
 サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2024年8月23日時点の肥育牛価格は1キログラム当たり15.85レアル(409円:1レアル=25.78円(注)、前年同日比15.8%高)となった(図3)。24年の肥育牛価格は、牛肉供給量が高水準で推移したことなどから23年に続き下落傾向で推移したが、同年6月7日の同14.35レアル(370円)を底に緩やかな上昇傾向に転じている。これは、輸出向けが引き続き堅調であることに加え、生産量の3分の2が仕向けられる国内市場向けについて、可処分所得の増加や牛肉供給増に伴う牛肉小売価格の引き下げなどから需要が増加したためとみられる。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2024年8月末TTS相場および現地参考為替相場(Selling)。

 
(調査情報部 井田 俊二)