24年5月の豚肉生産量、前年同月並み
欧州委員会によると、2024年5月の豚肉生産量(EU27カ国)は、173万7420トン(前年同月比0.0%減)と前年同月並みとなった(図1)。同月の1頭当たり枝肉重量は95.40キログラム(同0.9%増)とわずかに増加したものの、と畜頭数が1821万頭(同0.9%減)とわずかに減少したことが影響した。24年1〜5月の豚肉生産量は、894万9270トン(前年同期比3.0%増)とやや増加した。
同期間の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、過去2年は生産コストの高騰、アニマルウェルフェアや環境規制に関する厳しい規制、輸出需要の減退などにより、主要生産国で生産減となったが、収益性の改善が見られたことなどから、すべての主要生産国で前年同期比増となった(表1)。デンマーク(同4.4%増)では、子豚価格の高騰により子豚生産の収益性が改善されたことから、母豚と子豚が増加し、24年7月1日時点の豚飼養頭数は前年同日比2.3%増となった。
米国農務省海外農業局(USDA/FAS)の分析によると、繁殖経営の収益性改善に伴う母豚頭数の増加により24年のEUの豚出荷頭数は、前年同月比2.1%増と予測されている。
24年7月の豚枝肉卸売価格、前年同月比13.9%安
欧州委員会によると、2024年7月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比13.9%安の100キログラム当たり214.85ユーロ(3万4793円:1ユーロ=161.94円(注1))となった(図2)。豚肉生産量の減少により記録的な高値となった23年と比較して生産量が回復傾向にあることに加えて、天候不順などによるバーベキュー需要の伸び悩みにより前年をかなり大きく下回った。週別の価格動向を見ると、24年8月も弱含みで推移しており、直近8月19日の週は前週から0.68ユーロ(110円)安の同206.17ユーロ(3万3387円)と前年同週比11.4%安となった。現地報道によると、豚肉生産量が前年をわずかに上回っていることなどから、24年下半期も豚肉価格は引き続き横ばいかわずかな下落と予測されている。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年8月末TTS相場。
24年上半期の豚肉輸出量、前年同期比8.8%減
欧州委員会によると、2024年上半期(1〜6月)のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、101万0404トン(前年同期比8.8%減)とかなりの程度減少した(表2)。現地報道によると、最大の輸出先である中国向けは、EU産豚肉のアンチダンピング調査(注2)への警戒感や中国がロシア産豚肉の輸入を開始したことにより、下半期も輸出に影響が出る可能性があるとされている。
(調査情報部 藤岡 洋太)