24年7月の国産トウモロコシ価格、需給が安定する中でわずかに下落
中国農業農村部は8月21日、「農産物需給動向分析月報(2024年7月)」を公表した。この中で、24年7月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに下落した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、市場への供給は縮小期にあるが、輸入在庫が前年を上回る水準とされることで、供給面での不安材料は見当たらないとされている。需要面では、加工業者などは一定の在庫を確保し、必要量のみを都度購入していることから、比較的落ち着いた状況とされている。トウモロコシ輸入量が減少基調にあることや、8月以降の大雨、台風の発生による収穫や取引への影響も懸念されるが、当面の国産トウモロコシ価格は安定した推移が見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、主要な養豚生産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、24年7月が1キログラム当たり2.04元(42円:1元=20.70円(注)、前月比6.3%安)とかなりの程度下落した。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.48元(51円)となったことで、輸入と国産との価格差は前月の同0.48元(10円)から同0.44元(9円)に縮小した。
24年7月の国産大豆価格、需要停滞も供給減から前月並みを維持
2024年7月の国産大豆価格は前月並みとなった(図2)。同月の大豆需給を見ると、産地や市中在庫の減少から、供給は引き続き備蓄大豆の取り崩しが中心とされている。需要面では、各地の気温上昇から引き続き食用など加工需要は低下しているとされる。このため、当面の国産大豆価格は安定した推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、24年7月が1キログラム当たり4.68元(96円、前年同月比8.8%安)と前年同月をかなりの程度下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同5.42元(112円、同5.9%安)と前年同月をやや下回った。同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同4.48元(93円)となったことで、輸入と国産との価格差は前月と同じく同0.94元(19円)となった。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べてわずかに低い水準にある。24年(1〜6月)の輸入量は4848万トン(前年同期比2.2%減)、輸入額は同19.8%減の251億9500万米ドル(3兆6734億円:1米ドル=145.80円(注))と報告されている。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年8月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)