24年6月の豚肉生産量、前年同月比4.6%減
欧州委員会によると、2024年6月の豚肉生産量(EU27カ国)は、158万2000トン(前年同月比4.6%減)とやや減少した(図1)。これは、同月の豚と畜頭数が1671万頭(同5.6%減)とやや減少したことが影響した。24年上半期(1〜6月)の豚肉生産量は、1053万4820トン(前年同期比1.8%増)とわずかに増加した。
同期間の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、ポーランドではアフリカ豚熱(ASF)の発生が落ち着いて23年後半から母豚の飼養頭数が増加している(表1)。その結果、24年上半期はと畜頭数が増加し、豚肉生産量は前年同期比9.3%増となった。スペインでは、23年12月の母豚飼養頭数が前年同月比3.7%増となったことで、24年上半期の子豚の生産は増加するとみられている。一方、同国で25年3月9日に施行が予定されている肥育豚などの飼養面積に係る基準の厳格化による豚肉生産への影響が懸念されている。同国の青年農業協会(ASAJA)と農畜産生産者調整委員会(COAG)によると、同国の年間肥育豚飼養頭数は400〜800万頭
(注1)程度減少する可能性があるとしている。
(注1)スペインの2023年の豚と畜頭数(5309万5000頭)から減少率を推定すると7.5%〜15.1%となる。
24年8月の豚枝肉卸売価格、前年同月比12.6%安
欧州委員会によると、2024年8月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比12.6%安の100キログラム当たり207.95ユーロ(3万3465円:1ユーロ=160.93円
(注2))となり、24年2月以来6カ月ぶりに210ユーロを下回った(図2)。これは、夏場の豚肉需要が伸び悩んだことが影響したとみられる。週別の価格動向を見ると、24年9月は横ばいで推移しており、直近9月16日の週は前週から横ばいの同204.64ユーロ(3万2933円)と前年同週比9.4%安となった。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年9月末TTS相場。
24年7月の豚肉輸出量、前年同月比24.3%増
欧州委員会によると、2024年7月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、17万7327トン(前年同月比24.3%増)と大幅に増加した(表2)。一方、同年1〜7月の豚肉輸出量は、118万9591トン(前年同期比4.9%減)とやや減少した。英国農業園芸開発委員会(AHDB)によると、最大の輸出先である中国向けは、ブラジルや米国などとの競争の激化や中国経済の低迷などにより同22.3%減と大幅に減少した。他方で米国向け輸出の増加要因について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、24年1月に完全施行されたカリフォルニア州法第12号による同州での母豚の飼養面積に係る基準の厳格化
(注3)により、より高いアニマルウェルフェア基準を有するEUが恩恵を受けたとされている。
(注3)海外情報「母豚の飼養基準と販売を規制する州法の動向(その1:カリフォルニア州)(米国)」(
https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003572.html)をご参照ください。
(調査情報部 藤岡 洋太)