24年1〜8月の鶏肉生産量は前年同期と同水準
タイ農業協同組合省農業経済局によると、2024年1〜8月の鶏肉生産量は180万1340トン(前年同期比1.1%増)とわずかに増加した(図1)。
米国農務省海外農務局(USDA/FAS)が24年9月に公表したPoultry and Products Annual(以下「報告書」という)によると、24年のタイの鶏肉生産量について前年比1%増にとどまると予測されている。この理由についてUSDA/FASは、(1)原種鶏および種鶏の主な輸入先である米国などで高病原性鳥インフルエンザが流行し、24年上期(1〜6月)の初生ひなの供給がひっ迫したこと(2)景気回復の遅れにより24年上期の鶏肉の国内消費量が前年同期比3%減少するなど内需が低迷していること―などを挙げている。
24年9月の鶏肉卸売価格は3カ月連続で前年同月を上回る
2024年9月の鶏肉卸売価格は、前年同月比0.9%高の1キログラム当たり57.09バーツ(256円:1バーツ=4.49円
(注))とわずかに上回った(図2)。
同価格は、22年後半から23年にかけて生産費の大部分を占める飼料費の高騰などから高値で推移していた。USDA/FASの報告書によれば、24年上期の飼料費は前年同期比で14%下落するなど、一定の落ち着きを取り戻した一方、初生ひなの供給ひっ迫を受け、24年上期の初生ひな平均価格は前年同期比で3%上昇したとされている。こうした要因に加え、鶏肉調製品の輸出が好調なことも、24年の同価格を引き続き押し上げている要因とみられる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年9月末TTS相場。
24年1〜7月の冷凍鶏肉輸出量は前年同期比4.5%減
2024年1〜7月の冷凍鶏肉の輸出量は、26万1349トン(前年同期比4.5%減)とやや減少した(表1)。一方で、輸出先別に見ると、高水準となった前年同期の反動で輸入量が減少した中国と韓国を除き、主要輸出先は前年同期を上回った。日本向けは外食産業を中心に引き続き鶏肉需要が強いことから、10万1290トン(同12.6%増)とかなり大きく増加した。
24年1〜7月の鶏肉調製品の輸出量は前年同期比14.7%増
2024年1〜7月の鶏肉調製品の輸出量は、38万5704トン(前年同期比14.7%増)とかなり大きく上回った(表2)。日本向けは、為替の影響などがあるものの、引き続き外食や中食・総菜向けなどの引き合いが強く、17万2945トン(同7.4%増)とかなりの程度増加した。
24年のタイの鶏肉輸出量(鶏肉、鶏肉調製品、加塩鶏肉)についてUSDA/FASの報告書では、ブラジルで24年7月にニューカッスル病が発生したことなどを受け、輸入側が調達先の多様化を進めており、タイ産の需要が増加することなどから、前年比4.7%増となると予測している。
(調査情報部 平山 宗幸)