24年8月の生乳生産量は前年同月比0.1%減、乳価は同19.8%高
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年8月の乳用経産牛飼養頭数は933万頭(前年同月比0.4%減)とわずかに減少した。一方、1頭当たり乳量の増加(同0.4%増)により、同月の生乳生産量は853万4000トン(同0.1%減)と前年並みを維持した(図1)。
米国農務省農場サービス局(USDA/FSA)によると、24年8月の全米平均総合乳価は、生乳100ポンド当たり23.6米ドル(1キログラム当たり75円:1米ドル=143.73円
(注1)、同19.8%高)と大幅に上昇した(図2)。このため、酪農マージン
(注2)は乳価の上昇と飼料価格の下落により、同13.72米ドル(同44円、同約2.1倍)と大幅に増加した。USDAは、酪農マージンの増加が生産者の増頭意欲の向上に作用し、25年にかけて飼養頭数は増加に転じる可能性があるとしている。
24年の生乳生産量についてUSDAは、飼養頭数が減少する中でも、約1億247万トン(前年比0.2%減)と前年並みを予測している。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均為替相場」の2024年9月末TTS相場。
(注2)酪農家のセーフティーネット制度である酪農マージン保障プログラム(DMC)で算定される全米平均総合乳価と飼料費の差額としての収益。DMCでは、酪農マージンが発動基準を下回った場合、補填が発動される。
24年8月のチーズおよびバターの卸売価格はいずれも堅調に推移
米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、2024年8月のチーズ卸売価格は、国内外の堅調な需要を反映して1ポンド当たり2.03米ドル(1キログラム当たり643円、前年同月比2.8%高)とわずかに上昇し、バター卸売価格は同3.14米ドル(同996円、同17.5%高)と大幅に上昇した(図3)。8月の月末在庫量を見ると、チーズは63.5万トン(同6.4%減)とかなりの程度減少した。また、バターは14.7万トン(同10.8%増)とかなりの程度増加した。
24年7月の乳製品輸出量、多くの品目で前年同月比で増加
米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年7月の乳製品輸出量は、乳脂肪分ベースで前年同月比8.2%増、無脂乳固形分ベースで同8.3%増といずれもかなりの程度増加した。品目別に見ると、脱脂粉乳はフィリピン向けの輸出増により7万2300トン(同10.8%増)とかなりの程度増加し、チーズもメキシコ向けの輸出増により4万200トン(同9.6%増)とかなりの程度増加した。ホエイは中国の一部での子豚の導入が増加していることから、1万3400トン(同15.0%増)とかなり大きく増加し、WPC(タンパク質濃縮ホエイパウダー)は健康需要の増進などにより1万3300トン(同32.1%増)と大幅に増加した。
(調査情報部 伊藤 瑞基)