24年8月の生乳生産量、2カ月連続で前年を上回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2024年8月の生乳生産量は141万8000トン(前年同月比9.0%増)とかなりの程度増加し、8月としては20年以降で最大量となった(図1)。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、乳牛の早期分娩と冬期の牧草生育が良好となったことが生産量の増加につながったとし、生乳生産の最盛期となる9〜11月に向けて順調なスタートを切ったとしている。
今後の生乳生産の見通しとして、(1)例年この時期は湿潤な気候により土壌水分が過剰となるが、今期は降雨量が平年より少なく、土壌環境が改善に向かったことで、牧草の生育に寄与したこと(2)降水量の減少により、生産者は春に向けて放牧地で十分な肥料散布を行う機会が得られたこと―などから順調な生乳生産量が見込まれている。
24年8月の乳製品輸出量、チーズが増加
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年8月の乳製品輸出量は、チーズを除く主要3品目で前年同月を下回った(表、図2)。最大の輸出先である中国向けが主要4品目で減少したことに起因している。一方、チーズは、主要輸出先である日本向けが増加したことに加え、サウジアラビア向けが大幅に増加したことから、全体としてはわずかに上回った。
24年9月17日のGDT平均価格、主要3品目で前回開催を上回る
2024年9月17日開催のGDT
(注1)平均取引価格は、バターを除く3品目が前回開催時(同年9月3日)を上回った(図3)。特にチーズは、世界最大の生産地域である米国と欧州での需給ひっ迫などから、1トン当たり4324米ドル(62万1489円:1米ドル=143.73円
(注2)、前回比2.7%高)となった。この結果、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり3883米ドル(55万8104円、同1.3%高)とわずかに上昇した。
このような中、NZ乳業最大手のフォンテラ社は24年9月25日、24/25年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価について、生乳の固形分
(注3)1キログラム当たり平均0.5NZドル(46円:1NZドル=92.75円
(注2))引き上げ、同9.0NZドル(835円)にすると発表した。8月に続いての引き上げとなるが、この理由について同社のハレル最高経営責任者は、最近のGDT価格の上昇を踏まえたものと説明している。
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年9月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳タンパク質。
(調査情報部 田中 美宇)