24年9月の生乳価格、前年同月比14.9%安
中国農業農村部によると、2024年9月の生乳価格は1キログラム当たり3.14元(65.19円:1元=20.76円
(注1)、前年同月比14.9%安)と前年同月をかなり大きく下回った(図1)。
生乳価格について中国農業農村部は、24年9月に公表した「農産物需給動向分析月報(2024年8月)」の中で、乳牛の
淘汰が進んだことにより生乳生産量の伸びは鈍化しているが
(注2)、乳製品の国内消費が依然として低迷していることから、当面は低水準で推移すると予測している。
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の24年9月末TTS相場。
(注2)近年、上期(1〜6月)の生乳生産量の増加率は8%前後で推移していたが、今期は3.5%にとどまった。詳細については、『畜産の情報』2024年9月号「生乳生産量の伸びは低下するも、乳価下落は止まらず」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_003378.html)をご参照ください。
24年1〜8月の乳製品輸入量、バターを除き前年同期比減
2024年1〜8月の乳製品主要8品目の輸入量は、主に製パン向け需要が堅調なバターを除き、いずれも前年同期比で下回った(表)。
このうち、主に養豚向け飼料原料などとして使用されるホエイは、中国での繁殖雌豚頭数の減少などを受け
(注3)、41万1000トン(前年同期比4.8%減)とやや減少した(図2)。しかし、乳製品輸入量(製品重量)が減少する中でも最大となる全体の約3割を占めるなど、一定数量が安定的に輸入されている。近年は輸入量の約半数を米国から輸入しており、今期も19万4000トン(全体の47.2%)を同国から輸入している。
ホエイに関して農業農村部は、24年4月に公表した「中国農業展望報告(2024−33)」
(注4)の中で、中国国内での製造技術が未熟であることから主に輸入に依存しており、その輸入量は12年から23年にかけて76.3%増加したとしている。一方で、中国政府は乳製品の輸入依存度を下げるため、乳業各社の製造技術強化を支援しており、24年には10社がチーズおよびホエイの供給能力の強化に取り組んでいるとしている。このため、今後の乳製品輸入量への影響が注目されている。
(注3)『畜産の情報』2024年10月号「24年7月の豚肉価格は前年同月比24.4%高」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_003416.html)をご参照ください。
(注4)海外情報「中国農業展望報告(2024−2033)を発表(牛乳・乳製品編)(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003854.html)をご参照ください。
(調査情報部 平山 宗幸)