24年8月の国産トウモロコシ価格、新穀の供給開始でわずかに下落
中国農業農村部は9月29日、「農産物需給動向分析月報(2024年8月)」を公表した。この中で、24年8月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに下落した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、一部産地から新穀の供給が開始されたことで、市場への供給量は十分な状況とされている。需要面では、加工業者などは一定在庫を確保しており、必要量のみを購入している状況とされている。9月以降はさらなる新穀の供給となるが、一方では、6〜7月の豪雨と台風による被害が各地で発生したため、新穀の品質低下が懸念されている。このため、一定品質以上の新穀について、流通量が限られた場合、全体の需要が緩和する中でも国産価格を下支えする可能性が見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、主要養豚生産地の中国南部向け飼料原料集積地となる
広東省
黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、24年8月が1キログラム当たり2.08元(43円:1元=20.76円
(注)、前月比同)となった。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.44元(51円、同1.6%安)とわずかに下落したことで、輸入と国産との価格差は前月の同0.40元(8円)から同0.36元(7円)に縮小した。
24年8月の国産大豆価格、供給減も需要停滞からわずかに下落
2024年8月の国産大豆価格は、前月からわずかに下落した(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面は、産地や市中在庫の減少から引き続き備蓄大豆の取り崩しが中心とされている。需要面では、
山東省と
河北省での大雨により野菜価格が上昇し、大豆製品の売り上げは増加しているが、市場全体は依然として閑散期とされている。9月以降は天候が涼しくなり、学校も再開されるため、大豆製品需要の伸びが予想されているが、新穀の供給が開始されるまでは備蓄大豆の取り崩しとなることで、当面の国産大豆価格は横ばいでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である
黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、24年8月が1キログラム当たり4.68元(97円、前年同月比8.5%安)と前年同月をかなりの程度下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同4.88元(101円、同9.5%安)と前年同月をかなりの程度下回った。同月の輸入大豆価格(山東省
青島港引き渡し価格、課税後)が同3.76元(78円)となったことで、輸入と国産との価格差は前月の同1.00元(21円)から同1.12元(23円)に拡大した。
なお、国産大豆および輸入大豆の価格は、今回の公表で23年8月分から修正されている。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べてわずかに低い水準にある。24年1〜7月の輸入量は5833万トン(前年同期比1.5%減)、輸入額は同18.5%減の300億3400万米ドル(4兆3168億円:1米ドル=143.73円
(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の74.7%)、米国(同21.7%)、カナダ(同1.7%)である。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年9月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)