北海道の生乳生産量、前年同月比3.5%増
令和6年9月の生乳生産量は、57万9317トン(前年同月比1.0%増)と2カ月連続で上回った(図1)。地域別では、北海道が34万4128トン(同3.5%増)、都府県が23万5189トン(同2.4%減)となった。北海道では、分娩のズレによる夏産み頭数の増加や、比較的涼しい天候が増加につながった前月に続き、前年同月を上回った。一方、都府県では酷暑の影響が続き、3カ月連続での減少となった。
9月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは33万1326トン(同1.2%減)と前年同月を7カ月連続で下回ったが、このうち、業務用向けについては2万5320トン(同3.9%増)と4カ月連続で上回った。
一方、乳製品向けは24万4287トン(同4.3%増)と2カ月連続で上回った。品目別に見ると、クリーム向けは5万8662トン(同0.9%減)と前年同月を4カ月ぶりに下回り、チーズ向けは3万23トン(同11.1%減)とかなり大きく下回った。一方、脱脂粉乳・バター等向けは、11万684トン(同20.4%増)と前年同月を大幅に上回った(農畜産業振興機構「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
全国の牛乳生産量、前年同月並み
9月の牛乳等生産量を見ると、飲用牛乳等のうち牛乳は、27万53キロリットル(前年同月比0.1%増)と前年同月並みだった。成分調整牛乳は前年割れが継続しており、1万8209キロリットル(同11.7%減)と前年同月をかなり大きく下回った。加工乳は増加傾向で推移していたが、1万1837キロリットル(同0.1%減)と前年同月並みにとどまった。
9月のバター在庫量、前年同月を上回る
9月のバターの生産量は、4162トン(前年同月比26.3%増)と前年を大幅に上回った(図2)。一方、出回り量は6289トン(同8.9%減)と前年同月をかなりの程度下回った(農畜産業振興機構調べ)。その結果、9月末の在庫量は2万6040トン(同0.1%増)と、令和4年4月以来の前年同月比増となった(図3)。
9月の脱脂粉乳生産量、2カ月連続で増加
9月の脱脂粉乳の生産量は、生乳生産量が増加する一方で、飲用等向けが減少したことなどを受け、9477トン(前年同月比19.3%増)と2カ月連続で前年同月を大幅に上回った(図4)。一方、出回り量は1万1370トン(同10.5%減)と3カ月連続で下回った(農畜産業振興機構調べ)。在庫量は、在庫低減対策の効果もあり、令和4年10月以降前年同月減で推移しており、9月末は4万9088トン(同16.4%減)と、6カ月ぶりに5万トンを下回った(図5)。
北海道の生乳移出量、前年同月比4.2%増
9月は、例年、学校給食が再開するなど需要が増加する一方で、夏場の暑さなどにより都府県の生乳生産量が落ち込むことから、生乳の道外移出量が最も多くなる。令和6年度における9月の生乳の道外移出量は6万3202トン(前年同月比4.2%増)と2年連続で前年同月を上回った(図6)。
なお、道内の同月の牛乳等向け処理量は4万8223トン(同0.2%減)と前年同月並みとなった。一方で、乳製品向け処理量は23万744トン(同4.3%増)と前年同月をやや上回っている。
(酪農乳業部 山下 侑真)