令和6年度上半期(4〜9月)の食肉の畜種別の需給動向は以下の通り。
1 牛 肉
生産量、和牛は増加するも乳用種・交雑種は減少
上半期の牛肉生産量は、17万3061トン(前年同期比0.9%増)と前年同期をわずかに上回った(図1)。品種別に見ると、和牛は8万7167トン(同6.3%増)と前年同期をかなりの程度上回った一方、乳用種は3万9342トン(同2.4%減)とわずかに、交雑種は4万5415トン(同3.7%減)とやや、いずれも前年同期を下回った。和牛については、繁殖雌牛の頭数が増加傾向であったことに加え、乳用牛への和牛受精卵移植技術の活用などによる増加がみられた。
輸入量、冷蔵品は減少するも冷凍品は増加
上半期の牛肉輸入量は、冷蔵品は減少した一方、冷凍品は増加したことから、29万5696トン
(注1)(前年同期比5.8%増)と前年同期をやや上回った(図2)。
冷蔵品は、国内需要が低迷する中、為替の影響や北米産輸入量が現地相場の高騰により減少したことなどから、10万3869トン(同1.7%減)と前年同期をわずかに下回った。国別に見ると、全体の48%を占めた豪州産は4万9600トン(同4.5%増)と前年同期をやや上回った一方、同44%を占めた米国産は4万5317トン(同9.6%減)と前年同期をかなりの程度下回った。
冷凍品は、輸入品在庫量が多かったことにより前年同期の輸入量が少なかったことに加え、豪州産を中心に主に加工用のひき材などに使用されるトリミングの輸入量が増加したことなどから、19万1679トン(同10.5%増)と前年同期をかなりの程度上回った。国別に見ると、全体の48%を占めた豪州産は9万1755トン(同28.7%増)と前年同期を大幅に上回った一方、同28%を占めた米国産は5万3943トン(同6.7%減)と前年同期をかなりの程度下回った。
(注1)輸入量の合計は、煮沸肉、ほほ肉、頭肉を含む。
推定出回り量、国産品は増加するも輸入品は減少
上半期の牛肉推定出回り量は、物価の上昇による消費者の生活防衛意識の高まりや円安などの影響から、43万2709トン(前年同期比1.7%減)と前年同期をわずかに下回った(図3)。このうち、国産品は17万334トン(同1.9%増)と前年同期をわずかに上回った一方、輸入品は26万2375トン(同3.9%減)と前年同期をやや下回った。
また、上半期の牛肉推定期末在庫は15万5848トン(同0.3%減)と前年同期並みとなった。このうち、輸入品は14万4550トン(同0.8%増)と前年同期をわずかに上回った一方、国産品は1万1298トン(同12.4%減)と前年同期をかなり大きく下回った。
2 豚 肉
生産量、わずかに減少
上半期の豚肉生産量は、猛暑の影響などによりと畜頭数が減少したことなどから、42万7573トン(前年同期比0.9%減)と前年同期をわずかに下回った(図4)。
輸入量、冷蔵品は減少するも冷凍品は増加
上半期の豚肉輸入量は、冷蔵品は減少した一方、冷凍品は増加したことから、52万3426トン
(注2)(前年同期比6.6%増)と前年同期をかなりの程度上回った(図5)。
冷蔵品は、為替の影響や米国産の現地相場の高騰により減少したことなどから、18万4593トン(同3.7%減)と前年同期をやや下回った。国別に見ると、全体の51%を占めるカナダ産は9万3177トン(同9.2%増)と前年同期をかなりの程度上回った一方、同38%を占める米国産は7万136トン(同19.7%減)と前年同期を大幅に下回った。
冷凍品は、メキシコ産を除く主要輸入先国からの輸入が堅調であったことの他、価格優位性のあるブラジル産輸入量が増加したことなどから、33万8760トン(同13.2%増)と前年同期をかなり大きく上回った。国別に見ると、全体の29%を占めるスペイン産は9万8053トン(同0.3%減)と前年同期と同水準、同15%を占める米国産は4万9078トン(同50.4%増)、同12%を占めるブラジル産は3万8904トン(同110.0%増)と、ともに前年同期を大幅に上回った。
(注2)輸入量の合計は、くず肉を含む。
推定出回り量、国産品は同水準も輸入品は増加
上半期の豚肉推定出回り量は、堅調な需要により、91万6872トン(前年同期比1.2%増)と前年同期をわずかに上回った(図6)。このうち、国産品は42万8524トン(同0.2%減)と前年同期と同水準、輸入品は48万8348トン(同2.4%増)と前年同期をわずかに上回った。
また、上半期の豚肉推定期末在庫は22万2777トン(同1.0%減)と前年同期をわずかに下回った。このうち、輸入品は20万1197トン(同1.1%減)と前年同期をわずかに下回った一方、国産品は2万1580トン(同0.6%増)と前年同期をわずかに上回った。
3 鶏 肉
生産量、わずかに増加
上半期の鶏肉生産量は、消費者の健康志向の高まりなどにより、84万2415トン(前年同期比1.8%増)と前年同期をわずかに上回った(図7)。
輸入量、わずかに増加
上半期の鶏肉輸入量は、国内の節約志向などを背景とした堅調な鶏肉需要により、ブラジル産、タイ産ともに輸入量が増加し、31万2239トン(前年同期比1.4%増)と前年同期をわずかに上回った(図8)。国別に見ると、全体の71%を占めるブラジル産は22万622トン(同0.7%増)とわずかに、同28%を占めるタイ産は8万6734トン(同5.6%増)とやや、いずれも前年同期を上回った。
推定出回り量、国産品、輸入品いずれも増加
上半期の鶏肉推定出回り量は、需要が堅調に推移していることから、全体では115万960トン(前年同期比2.2%増)と前年同期をわずかに上回った(図9)。このうち、国産品は84万6129トン(同2.6%増)、輸入品は30万4831トン(同0.9%増)と、ともに前年同期をわずかに上回った。
上半期の鶏肉推定期末在庫は16万9672トン(同4.4%増)と前年同期をやや上回った。このうち、輸入品は13万6518トン(同3.0%増)とやや、国産品は3万3154トン(同10.3%増)とかなりの程度、いずれも前年同期を上回った。
(畜産振興部 大西 未来)