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海外需給【牛肉/EU】畜産の情報 2024年12月号

牛肉生産量は増加、枝肉価格も上昇基調

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24年7月の牛肉生産量、前年比12.0%増
 欧州委員会によると、2024年7月の牛肉生産量(EU27カ国)は54万3270トン(前年同月比12.0%増)とかなり大きく増加した(図1)。同月の牛と畜頭数が183万7770頭(同11.1%増)とかなり大きく増加したことで、牛肉生産量の増加に寄与した。また、同年1〜7月の累計の牛肉生産量は378万2000トン(前年同期比4.2%増)と前年同期をやや上回った。
欧州委員会が24年10月8日に公表した農畜産物の短期的見通し(注1)によると、上半期のと畜頭数増加の要因として、牛枝肉価格が高値で推移していることに加えて、トルコ向け輸出量の増加や中欧での放牧条件の悪化による早期出荷が挙げられている。同見通しによると、24年の牛肉生産量は飼養頭数の減少により、前年比0.5%減と予測されている。
一方、米国農務省海外農業局(USDA/FAS)では、と畜頭数の増加と枝肉重量の増加により、24年の牛肉生産量を前年比2.2%増の660万トンと予測している。

(注1)海外情報「欧州委員会、食肉の短期的需給見通しを公表(EU)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003937.html)をご参照ください。


 
 
24年9月の枝肉卸売価格、前年同月比6.7%高
 2024年9月の牛枝肉平均卸売価格(注2)は、100キログラム当たり517.32ユーロ(8万7029円:1ユーロ=168.23円(注3)、前年同月比6.7%高)となった(図2)。24年に入り同価格は横ばい傾向が続いていたものの、8月から上昇に転じた。現地報道によると、と畜牛の需要が堅調に推移していることに加えて、冬場の需要増に向けた在庫の確保が例年より早い時期に始まったとされている。

(注2)若雄牛(A)、去勢牛(C)および若齢牛(Z)のうち枝肉の格付けが上(R)、枝肉の脂肪の付着度合が平均的(5段階中3)なものの平均価格(A/C/Z-R3)。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年10月末TTS相場。
 


 
24年8月の牛肉輸出量、アルジェリア向けが好調
 2024年8月の牛肉輸出量は、4万67トン(前年同月比0.2%増)と前年同月並みとなった(表1)。主要輸出先のほとんどで前年同月を下回ったものの、2月にスペイン産牛肉の輸入を再開したアルジェリア向けが好調となったことがプラスに働いた。24年の牛肉輸出量について欧州委員会は、前述の短期的見通しの中で、トルコ向けなどの輸出が堅調に推移するため、前年比10.0%増の57万7300トンと見込んでいる。
 一方、同年8月の牛肉輸入量は、南米諸国からの輸入量の減少により、1万8673トン(同0.5%減)とわずかに減少した(表2)。
 



 
 
(調査情報部 藤岡 洋太)