24年9月の国産トウモロコシ価格、新穀の供給増でやや下落
中国農業農村部は10月23日、「農産物需給動向分析月報(2024年9月)」を公表した。この中で、24年9月の国産トウモロコシ価格は前月からやや下落した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、トウモロコシの収穫が最盛期に入り、新穀の供給が潤沢となったことで、市場への供給量は十分な状況とされている。需要面では、飼料企業からの需要は限定的ながらも増加しているが、コーンスターチ製造企業を含め、いずれも在庫を抱えず、必要量のみを都度購入している状況とされている。このため、当面の国産トウモロコシ価格は、供給量が増加する中で、飼料企業などの需要は若干の増加にとどまることから、比較的低調な推移が見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、主要養豚生産地の中国南部向け飼料原料集積地となる
広東省
黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、24年9月が1キログラム当たり2.16元(47円:1元=21.84円
(注)、前月比3.8%高)となった。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.34元(51円、同4.1%安)とやや下落したことで、輸入と国産の価格差は前月の同0.36元(8円)から同0.18元(4円)に縮小した。
24年9月の国産大豆価格、新穀の供給開始でわずかに下落
2024年9月の国産大豆価格は、前月からわずかに下落した(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面では、東北の主産地で収穫が始まり、新穀が次々と市場に出回り始めている。需要面では、旧穀から新穀への移行期にあり、需要者はおおむね様子見の姿勢で、必要に応じた購入に重点を置いているとされる。今後、市場への供給量が徐々に増加することで、当面の国産大豆価格は短期的には安定を維持するものの、弱含みでの推移が見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である
黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、24年9月が1キログラム当たり4.66元(102円、前年同月比8.9%安)と前年同月をかなりの程度下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる
山東省の国産大豆価格は、同5.10元(111円、同11.3%安)と前年同月をかなり大きく下回った。同月の輸入大豆価格(山東省
青島港引き渡し価格、課税後)が同3.88元(85円)となったことで、輸入と国産の価格差は前月の同1.38元(30円)から同1.23元(27円)に縮小した。
なお、国産大豆価格は、今回の公表で23年9月分以降は各月とも上方修正されている。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べてわずかに低い水準にある。24年(1〜8月)の輸入量は7048万トン(前年同期比2.8%増)、輸入額は同15.4%減の360億1800万米ドル(5兆5698億円:1米ドル=154.64円
(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の76.3%)、米国(同18.2%)、カナダ(同1.4%)である。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年10月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)