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海外需給【牛乳・乳製品/中国】畜産の情報 2025年1月号

生乳生産量は減少に転じるも、生乳価格は引き続き低迷

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24年1〜9月の生乳生産量、前年同期比0.1%減
 中国農業農村部によると、2024年1〜9月の生乳生産量は、前年同期比0.1%減の2902万トンとなった(図1)。
 中国農業農村部は24年4月、24年の生乳等生産量(注1)を前年比2.6%増の4405万トンとする予測を公表していた(注2)。しかし、生乳価格の下落を受けて乳牛の淘汰が進んだことで、24年第3四半期(7〜9月)の生乳生産量は前年同期比5.8%減と減少に転じている。このため、24年の生乳等生産量は、同予測を下回る可能性が高まっている。
 
(注1)牛由来の生乳のほか、ヤギやヤクなどの他畜種由来の乳を含む生産量。
(注2)海外情報「中国農業展望報告(2024−2033)を発表(牛乳・乳製品編)(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003854.html)をご参照ください。
 

 
24年11月の生乳価格、前年同月比15.7%安
 中国農業農村部によると、2024年11月の生乳価格は1キログラム当たり3.12元(65.83円:1元=21.10円(注3)、前年同月比15.7%安)と前年同月をかなり大きく下回った(図2)。
 
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年11月末TTS相場。

 
 生乳価格について中国農業農村部は、24年11月に公表した「農産物需給動向分析月報(2024年10月)」の中で、乳牛の淘汰により生乳の過剰供給が調整されるとともに、乳製品の消費促進の取り組みなどを強化していること(注4)から、今後は生乳価格が回復すると予測している。
 
(注4)海外情報「中国農業農村部、肉牛乳牛生産の安定化に関する通知を公表(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003952.html)をご参照ください。
 
24年1〜10月の乳製品輸入量、バターを除き前年同期比減
 2024年1〜10月の乳製品主要8品目の輸入量は、主に製パン向け需要が堅調なバターを除き、いずれも前年同期比で下回った(表)。
 25年の中国の乳製品輸入量について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、24年10月に公表した「Dairy and Products Annual」の中で、(1)全粉乳、脱脂粉乳、飲用乳およびチーズは中国国内での生産量の増加と消費低迷を受けて24年比で減少(2)バターは国内消費の増加分を国内生産で賄えるため24年並みの水準(3)ホエイは豚飼料向けの需要増も人口減少による食品向けの需要減が相殺するため24年並みの水準−と予測している。
 


 
(調査情報部 平山 宗幸)