24年10月の国産トウモロコシ価格、供給増からかなりの程度下落
中国農業農村部は2024年11月20日、「農産物需給動向分析月報(2024年10月)」を公表した。この中で、24年10月の国産トウモロコシ価格は前月からかなりの程度下落した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、トウモロコシの販売が最盛期に入り、旧穀の処分とも相まって、市場への供給量は十分な状況とされている。需要面では、飼料需要が回復傾向にある中で、飼料製造企業の購入量も増加しているが、潤沢な市場在庫を背景にコーンスターチ製造企業を含めていずれも過度な在庫を抱えず、必要量のみを都度購入している状況とされている。今後、気温の低下から産地保管も容易となり、また、トウモロコシの備蓄も実施されることで下落が止まることで、当面の国産トウモロコシ価格は安定した推移と見込まれている。
輸入トウモロコシ価格を見ると、主要養豚生産地の中国南部向け飼料原料集積地となる広東省黄埔港到着(関税割当数量内:1%の関税+25%の追加関税)は、24年10月が1キログラム当たり2.16元(46円:1元=21.10円(注)、前月同)となった。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)が同2.20元(46円、前月比6.0%安)とかなりの程度下落したことで、輸入と国産の価格差は前月の同0.18元(4円)から同0.04元(1円)に縮小した。
24年10月の国産大豆価格、供給増からかなり大きく下落
2024年10月の国産大豆価格は、前月からかなり大きく下落した(図2)。同月の大豆需給を見ると、供給面では、主産地からの供給量が増加する中で、市場在庫は潤沢な状況とされている。需要面では、中国最大の穀物・食品企業である中糧集団有限公司(COFCO)が相次いで倉庫を開放して大豆を買い入れ、また、大手穀物企業も同様に大豆を買い入れていることで、需要を下支えている状況とされる。このため、価格の下落に歯止めがかかり、当面の国産大豆価格は安定に向かうと見込まれている。
各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江省の食用向け国産大豆平均取引価格は、24年10月が1キログラム当たり3.86元(81円、前年同月比21.7%安)と前年同月を大幅に下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東省の国産大豆価格は、同4.38元(92円、同19.6%安)と前年同月を大幅に下回った。同月の輸入大豆価格(山東省青島港引き渡し価格、課税後)が同3.82元(81円)となったことで、輸入と国産の価格差は前月の同1.23元(26円)から同0.56元(12円)に縮小した。
国際相場に影響する大豆の輸入量は、前年に比べて高い水準にある。24年(1〜9月)の輸入量は8185万トン(前年同期比8.1%増)とかなりの程度増加したが、輸入額は穀物価格の下落を受けて同9.6%減の416億7700万米ドル(6兆3241億円:1米ドル=151.74円(注))と報告されている。主な輸入先はブラジル(総輸入量の76.0%)、米国(同17.8%)、アルゼンチン(同2.7%)である。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年11月末TTS相場。
(調査情報部 横田 徹)