24年の鶏肉生産量、2年連続の増加で1500万トン台の見込み
ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)によると、24年のブラジルの鶏肉生産見込量は1518万9000トン(前年比1.7%増)と前年をわずかに上回り、2年連続の増加が見込まれている(図1)。これは、海外からの堅調な需要や生産コストの安定により鶏肉生産者の経営改善が図られていることによるものである。鶏肉生産量が1500万トンを超えるのは21年以来3年ぶりとなる。また、今回初めて公表された25年の鶏肉生産量の予測値は、1551万3000トン(同2.1%増)と24年に続きわずかな増加と見込まれている。
24年1〜10月鶏肉輸出量、中国向けが大幅減も前年同期比2.4%増
ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2024年1〜10月の鶏肉輸出量は404万7183トン(前年同期比2.4%増)と前年同期をわずかに上回った(表)。
輸出先別に見ると、最大の中国向けは46万1709トン(同22.0%減)となり、高水準となった前年同期を大幅に下回った。これは、中国国内での鶏肉増産の動きや同国の経済状況などを反映したことに加え、24年7月17日、南部リオグランデドスル州アンタゴルダ市の商業養鶏農家でニューカッスル病(NCD)の発生が確認されたことで、8月中旬までの約1カ月間にわたりブラジルのすべての地域から中国向け鶏肉輸出が停止したことが影響した。一方、アラブ首長国連邦(38万9644トン、同7.5%増)、サウジアラビア(31万1206トン、同2.0%増)、イラク(15万5172トン、同21.7%増)など中東向けは堅調であった。また、中国、アラブ首長国連邦に次ぐ日本向けは37万2665トン(同9.4%増)と前年同期をかなりの程度上回った。
24年11月の鶏肉卸売価格、需要増から前年を上回る水準で推移
サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、直近(2024年11月26日時点)のブラジルの鶏肉卸売価格は、1キログラム当たり8.18レアル(205円:1レアル=25.07円(注)、前年同期比9.1%高)となった(図2)。24年の鶏肉卸売価格は、年初から同7.0〜7.5レアル(175〜188円)の範囲内で推移していたが、10月ごろから上昇傾向となり、10月末に同8.0レアル(201円)を超えた。これは、国内の牛肉価格が上昇した結果、消費需要が鶏肉など比較的安価な食肉に移行したことなどが影響したためとみられる。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」2024年11月末TTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
(調査情報部 井田 俊二)