畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > メキシコの生体牛輸入停止などで、25年の牛肉生産量は下方修正

海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2025年2月号

メキシコの生体牛輸入停止などで、25年の牛肉生産量は下方修正

印刷ページ
24年11月の牛肉生産量は前年同月比2.7%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2024年11月の牛と畜頭数は、256万8000頭(前年同月比5.8%減)とやや減少した。一方、同月の1頭当たり枝肉重量は、393.7キログラム(同3.3%増)とやや増加した。この結果、同月の牛肉生産量は100万5000トン(同2.7%減)とわずかに減少した(図1)。なお、1〜11月の累計では1124万3000トン(前年同期比0.0%増)となっている。
 同月のフィードロット導入頭数は、179万6000頭(前年同月比3.7%減)とやや減少した。これは干ばつの影響により前月にフィードロットへの早期導入が進んだことや、11月下旬にメキシコ南部の牛からラセンウジバエが検出され、同国からの生体牛輸入を停止した影響(注1)によるものとみられる。また、同月の出荷頭数は172万5000頭(同1.5%減)とわずかに減少した。この結果、24年12月1日時点のフィードロット飼養頭数は1198万2000頭(同0.3%減)と前年同月並みとなった。
 こうした状況を踏まえ、25年の牛肉生産量についてUSDAは、今後年間を通じてメキシコからの生体牛輸入を再開しない場合には、肥育牛の出荷頭数の減少が見込まれるため、前月予測より27万9000トン下方修正の1164万1000トン(前年比5.1%減)と予測している。
 
(注1)海外情報「米国農務省、メキシコからの生体牛輸入再開に関する手順書に署名(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_003999.html)をご参照ください。

 
24年11月の肥育牛価格は前年同月比3.2%高
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2024年11月の肥育牛価格は、100ポンド当たり187.6米ドル(1キログラム当たり658円:1米ドル=159.18円(注2)、前年同月比3.2%高)とやや上回った(図2)。前述の生体牛の輸入停止により肥育もと牛の供給が制限されたことで、同価格は25年にかけてさらなる上昇が見込まれている。
 同月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注3))は、肥育牛価格の高止まりが続く中で、同311.43米ドル(同1093円、同4.1%高)となった。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年12月末TTS相場。
(注3)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
 

 
24年10月の牛肉輸出量は前年同月比0.3%減
 USDA/ERSによると、2024年10月の牛肉輸出量は10万9367トン(前年同月比0.3%減)となり、24年1〜10月の累計では113万64トン(前年同期比2.6%減)とわずかに減少した(表1)。牛肉卸売価格の高止まりや米ドル高の影響などから、主要輸出先の多くで減少が続いている。同年1〜10月の輸出量を輸出先別に見ると、日本向けは24万6300トンと前年並みとなったが、韓国向けは23万1648トン(同8.8%減)、中国向けは17万8535トン(同8.0%減)といずれもかなりの程度減少した。
 24年10月の牛肉輸入量は、18万7806トン(前年同月比35.2%増)と大幅に増加した(表2)。輸入先別ではカナダ以外、軒並み増加している。特に豪州は5万5919トン(同75.6%増)、ブラジルは2万5372トン(同2.9倍)とそれぞれ大幅に増加した。
 



 
 
(調査情報部 伊藤 瑞基)