24年9月の豚肉生産量、前年同月比2.0%増
欧州委員会によると、2024年9月の豚肉生産量(EU27カ国)は、167万8210トン(前年同月比2.0%増)とわずかに増加した(図1)。これは、豚と畜頭数が1801万415万頭(同0.8%増)とわずかに増加したことに加えて、飼料価格の下落による生産者の収益性の改善などにより生体豚の出荷を遅らせる傾向が強まったことなどを背景に、1頭当たりの枝肉重量が93.16キログラム(同1.2%増)とわずかに増加したことが影響した。また、24年1〜9月の豚肉生産量を見ると、1557万7960トン(前年同期比1.9%増)とわずかな増加を維持している。
24年9月の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、スペインやドイツでは豚と畜頭数の増加を受けて豚肉生産量も増加した(表1)。一方、フランスやポーランド、デンマークでは、と畜頭数が前年同月比減となったものの、1頭当たりの枝肉重量増加により豚肉生産量は増加した。米国農務省海外農業局(USDA/FAS)によると、EUの24年の豚肉生産量は、飼料価格の下落などを背景に1頭当たりの枝肉重量の増加が見込まれるため、前年比2.0%増の2125万トンと予測されている。
24年11月の豚枝肉卸売価格、前年同月比9.2%安
欧州委員会によると、2024年11月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比9.2%安の100キログラム当たり192.71ユーロ(3万2069円:1ユーロ=166.42円(注))となり、2カ月連続で200ユーロを下回った(図2)。現地報道によると、と畜豚の増加や1頭当たりの枝肉重量の増加により域内での豚肉供給量が前年を上回ったことが、枝肉卸売価格の下落につながったとしている。週別の価格動向を見ると、11月から12月にかけてはほぼ横ばいで推移しており、直近12月9日の週は同192.39ユーロ(3万2018円)と前年同週比9.2%安となった。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年12月末TTS相場。
24年10月の豚肉輸出量、前年同月比3.2%増
欧州委員会によると、2024年10月のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、17万8306トン(前年同月比3.2%増)とやや増加した(表2)。中国の豚肉輸入需要が低迷する中、同国向けの豚肉輸入量の4分の1を占めるブラジルの豚肉価格高騰などから、同じく主要な輸入先であるスペインからの輸入量が同21.8%増加したことや日本やフィリピン向けが増加したことなどが輸出量の増加に寄与した。24年1〜10月の豚肉輸出量を見ると、167万89トン(前年同期比4.3%減)とやや減少した。
(調査情報部 藤岡 洋太)