24年10月の生乳出荷量、前年同月比0.7%増
欧州委員会によると、2024年10月の生乳出荷量(EU27カ国)は、1156万8000トン(前年同月比0.7%増)と前年同月をわずかに上回った(図1)。主要生産国別に見ると、フランス(同1.1%増)、ポーランド(同3.3%増)が前年同月を上回った一方、ドイツ(同2.3%減)、オランダ(同1.6%減)、イタリア(同0.5%減)は前年同月を下回った。
アイルランドは、9月に19カ月ぶりの増加に転じ、10月も同14.8%増と2カ月連続で前年同月を上回った。23年冬から24年春にかけての多雨による放牧の遅れや、夏の日照不足による牧草の生育不良が生乳出荷量に影響したが、9〜10月は牧草の状態が良好となったことが生乳出荷量の増加につながった。
24年11月の生乳取引価格、前年同月比15.2%高
欧州委員会によると、2024年11月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり52.33ユーロ(1キログラム当たり87.1円:1ユーロ=166.42円(注)、前年同月比15.2%高)と7カ月連続で前年同月を上回った(図2)。生乳出荷量が停滞する中で、バターをはじめとする乳製品価格の上昇から生乳取引価格は堅調に推移している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年12月末TTS相場。
24年12月のバター価格、過去最高を記録
欧州委員会によると、2024年12月15日の週の乳製品価格(EU27カ国の平均)は、脱脂粉乳が100キログラム当たり255ユーロ(1キログラム当たり424円、前年同期比1.5%安)と前年同期をわずかに下回ったが、全粉乳が同431ユーロ(同717円、同17.2%高)、チーズが同431ユーロ(同717円、同19.1%高)といずれも前年同期を上回った(図3)。
特にバターは、同770ユーロ(同1281円、同42.1%高)となり、前週の過去最高となった同789ユーロには及ばないものの、前年同期を大幅に上回って推移している。これは、同年1〜9月は、需要が堅調なチーズやクリームに生乳が仕向けられ、バターの生産量が減少したことが影響しており、また、米国農務省農業マーケティング局(USDA/AMS)によると、価格の下落を見越した買い控えがあるものの、年末のバター工場の停止からバター価格は高値で推移するとしている。
24年第1〜3四半期の乳製品輸出量は、チーズを除き前年同期比減
欧州委員会によると、2024年第1〜3四半期(1〜9月)の域外向け乳製品輸出量は、チーズを除く乳製品3品目で前年同期を下回った(表)。中でも、脱脂粉乳は前年同期比8.9%減とかなりの程度、全粉乳は同19.9%減と大幅に減少した。これは、中国の輸入需要減退や、価格競争力で優位なニュージーランドが中東やアフリカ向けの輸出量を増やしたことによるとみられる。
(調査情報部 渡辺 淳一)