24年11月の生乳生産量、5カ月連続で前年を上回る
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2024年11月の生乳生産量は2878万トン(前年同月比2.1%増)とわずかに増加し、5カ月連続で前年同月を上回った(図1)。順調な生乳生産が続いている要因としてニュージーランド証券取引所(NZX)は、天候の好転による放牧環境の安定を挙げている。今後の生乳生産については、乳価の引き上げなどにより引き続き堅調に推移するとみられる。
24年11月の乳製品輸出量、チーズが増加
ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年11月の乳製品輸出量は、チーズを除く主要3品目で前年同月を下回った(表、図2)。脱脂粉乳は、マレーシアやサウジアラビア向けが減少し、全粉乳は主要輸出先である中国やUAE向けが減少した。また、バターはサウジアラビアや米国向けが減少した。一方、チーズは、英国向けや主要輸出先である日本、韓国向けが増加した。
乳製品国際相場を反映し、24/25年度の生産者支払乳価を引き上げ
2024年12月17日開催のGDT(注1)平均取引価格は、主要4品目がいずれも前回開催時(同年12月3日)を下回ったものの、前年同期比ではいずれも高値となった(図3)。24年最後の取引となり、北アジアからの購入が減少したことで、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり4148米ドル(66万279円:1米ドル=159.18円(注2)、前回比1.1%安)となった。NZXによると、価格上昇となった全粉乳は、クリスマスや旧正月を控えて各地域が備蓄を進めていることが要因と分析されている。
このような中、NZ乳業最大手のフォンテラ社は24年12月5日、24/25年度(6月〜翌5月)の生産者支払乳価を生乳の固形分(注3)1キログラム当たり平均0.5NZドル(46円:1NZドル=91.17円(注2))引き上げ、平均で同10.0NZドル(912円)にすると発表した。引き上げの理由について同社のハレル最高経営責任者は、最近の好調なGDT価格によるものと説明している。また、東南アジアからの需要が堅調であり、ニュージーランドのほとんどの地域で生乳生産量が増加している中で、地政学的不安の高まりによる潜在的な影響を含め、世界的な需給バランスに影響を与える可能性のある要因を引き続き注視していくとコメントしている。
(注1)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2024年12月末TTS相場。
(注3)乳脂肪分および乳たんぱく質。
(調査情報部 田中 美宇)