わが国で日常的に行われている家畜の飼養管理と、農林水産省の技術的な指針やAWの基本概念である「5つの自由」を照らし合わせると、農場で当たり前のように行っている「適正な飼養管理」や「衛生対策」もAWの一部であり、すでに多くの農場がAWに取り組んでいることが分かります。
しかし、AWの話題になると、実際はほとんどの農家がAWに取り組んでいるにもかかわらず、畜産関係者でもケージの禁止や放牧などを思い浮かべ、取り組んでいないと誤解する人が多いのも現状です。消費者や流通業者などからAWに関する質問があった際に、畜産関係者がAWを誤解してAWの取り組みを行っていないと説明すると、農場では何も取り組んでいないと評価されてしまうため注意が必要です。
次に、農場での具体的な取り組みとして最初に必要なことは、AWの取り組み状況を確認することです。技術的な指針の参考資料にあるチェックリストを活用して、農場で「できている項目」「できていない項目」を把握することも一つの方法です(図5)。
さらにAWの取り組みを進めるためには、「できていない項目」について、獣医師などの専門家の意見を聞き、どのような問題が解決できれば対応が可能になるかを整理することです。対応が比較的簡単なものから取り組みを進め、対応が難しい項目については、農場としての今後の方針などを検討しておくことも取り組みの一つとなります。
AWへの関心が高まる中、今後は消費・流通の側にも畜産におけるAWの取り組みを説明し、理解を求めながらAWを推進していく必要があります。そのためには、畜産関係者が畜産におけるAWの考え方を理解して、実際には多く農場がすでにAWに取り組んでいるという共通の意識を持ち、AWのことを適切に説明できるようにしておくことが重要となります。
【プロフィール】
1997年麻布大学獣医学部環境畜産学科卒、民間会社に勤務後、2000年に社団法人日本緬羊(めんよう)協会に勤務。03年から組織統合により社団法人畜産技術協会で勤務。04年からAW関連業務に従事し、飼養管理指針の作成やAWの普及などを行ってきた。