令和6年の農林水産物・食品の輸出については、中国および香港向けが水産物の輸入規制の影響を受けて減少した一方、それ以外の国・地域向けが大きく増加した結果、過去最高となる1兆5073億円(前年比3.7%増)となった。そのうち畜産品は、1073億4600万円(同6.5%増)となっており、畜種別の輸出動向について紹介する。
【牛肉】牛肉輸出量、前年比20.1%増
令和6年の牛肉輸出量(牛くず肉を除く。以下同じ)は、1万113トン(前年比20.1%増)と大幅に増加し、過去最高となった(図1)。輸出先は51カ国・地域となっており、国・地域別のシェアを見ると、米国向けが2139トン(同87.2%増)で21.1%と、前年にトップだった台湾を上回った。次いで台湾が2094トン(同23.8%増)で20.7%、香港が1458トン(同4.1%減)で14.4%となった。
輸出金額は、635億8409万円(同11.6%増)と前年からかなり大きく増加し、輸出量同様に過去最高となった。
また、牛肉輸出量の部位別割合を見ると、全体に占める「ロイン」の割合が45.7%と最も高く、次いで「かた・うで・もも」が34.6%、「ばら」が16.9%となった(図2)。なお、EU向けは引き続きサーロインなどの「ロイン」を中心とした輸出となっている一方、北米向けはこれまで「ロイン」が中心であったものの、「かた・うで・もも」の同割合が前年から20.4ポイント増加して33.1%となり、「ロイン」の同割合は前年から30.0ポイント減少して49.5%となった。
冷蔵・冷凍別の牛肉輸出量を見ると、冷蔵は4777トン(同13.2%増)とかなり大きく、冷凍は5336トン(同27.1%増)と大幅に、いずれも前年を上回った(図3)。全体に占める「冷蔵」と「冷凍」の割合は同47%:53%となり、前年から冷蔵品は3ポイント減少、冷凍品は3ポイント増加となった。
【豚肉】豚肉輸出量、前年比17.1%減
令和6年の豚肉輸出量(豚くず肉を除く。以下同じ)は、1301トン(前年比17.1%減)と前年から大幅に減少した(図4)。輸出先は、前年から1カ国減少し、8カ国・地域となっており、国・地域別のシェアを見ると、香港向けが887トン(同17.0%減)で68.2%と最も多く、次いでシンガポール向けが351トン(同16.1%減)で27.0%となった。
輸出金額は、17億5805万円(同14.9%減)と前年からかなり大きく減少した。
また、ソーセージやハムなどを含む豚肉加工品(豚肉調製品(ゆでた豚足など)を除く。以下同じ)の輸出量は105トン(同20.1%減)と前年から大幅に減少した(図5)。
【鶏肉】鶏肉輸出量、前年比5.3%増
令和6年の鶏肉輸出量は、4621トン(前年比5.3%増)と前年からやや増加した(図6)。輸出先は、前年と同数の5カ国・地域となっており、国・地域別のシェアを見ると、香港向けが3278トン(同18.9%増)で70.9%と最も多く、次いでベトナム向けが1006トン(同173.2%増)で21.8%となった。
輸出金額は、13億49万円(同5.2%減)と前年からやや減少した。
一方で、空揚げやサラダチキンといった鶏肉加工品の輸出量は、797トン(同4.6%増)と前年からやや増加した(図7)。国・地域別のシェアを見ると、香港向けが761トン(同3.2%増)で95.5%とほとんどを占めた。
輸出金額は、11億8095万円(同0.3%減)と前年並みとなった。
【牛乳・乳製品】牛乳・乳製品輸出金額、前年比0.8%減
令和6年の牛乳・乳製品の輸出金額は、305億4775万円(前年比0.8%減)と前年をわずかに下回った。
品目別に見ると、最も輸出金額の多い「育児用粉乳」が147億4184万円(同2.8%増)、次いで、「アイスクリームその他氷菓」が90億5621万円(同13.7%増)、「チーズ」が25億4553万円(同25.5%増)、「LL牛乳」が20億1662万円(同10.5%増)と、各品目のいずれも前年を上回った(図8)。一方、「その他」に含まれる脱脂粉乳が前年比9割減となったことにより、「その他」の金額が21億8755万円(同52.7%減)と前年を大幅に下回り、牛乳・乳製品全体の金額を押し下げた。
輸出先別に見ると、金額の多い順に、「育児用粉乳」がベトナム、カンボジア、台湾、「アイスクリームその他氷菓」は台湾、香港、米国、「チーズ」は台湾、香港、ベトナム、「LL牛乳」は香港、シンガポール、台湾、「その他」はフィリピン、台湾、タイとなっている。
【鶏卵】鶏卵輸出量、前年比17.4%増
令和6年の鶏卵(殻付き卵)の輸出量は2万1869トン(前年比17.4%増)と前年から大幅に増加した(図9)。国・地域別のシェアを見ると、香港向けが2万1456トン(同17.0%増)で98.1%とほとんどを占めた。
輸出金額は、69億707万円(同1.2%増)と前年からわずかに増加した。
(食肉、鶏卵: 畜産振興部 大西 未来)
(牛乳・乳製品: 酪農乳業部 天野 明日香)