24年10月の牛肉生産量、前年同月比5.3%増
欧州委員会によると、2024年10月の牛と畜頭数が207万1700頭(前年同月比4.3%増)とやや増加したことに伴い、牛肉生産量(EU27カ国)は60万6770トン(同5.3%増)とやや増加した(図1)。また、同年1〜10月の累計牛肉生産量は547万1940トン(前年同期比3.6%増)と前年同期をやや上回った。
24年の累計牛肉生産量の増加が最も顕著となったポーランド(同22.6%増)では、EU域内外における牛肉需要と堅調な牛肉価格を背景に、廃用牛の淘汰や近隣諸国からのと畜用生体牛の輸入が増加した。
一方、オランダやアイルランドなどの西欧諸国では、枝肉価格の高騰と環境規制などの厳格化により、と畜頭数が増加する一方、牛の飼養頭数は減少している。このため、25年のEUの牛肉生産量について米国農務省海外農業局(USDA/FAS)は、前年比1.5%の減少と予測している。
24年12月の枝肉卸売価格、前年同月比13.7%高
2024年12月の牛枝肉平均卸売価格(注1)は、1キログラム当たり5.60ユーロ(907円、1ユーロ:161.86円(注2)、前年同月比13.7%高)と過去最高水準になった(図2)。現地報道によると、小売需要が好調であることに加えて、年末に向けて高価格帯の牛肉需要が高まったことなどが牛肉価格の上昇につながったとされている。
(注1)若雄牛(A)、去勢牛(C)および若齢牛(Z)のうち枝肉の格付けが上(R)、枝肉の脂肪の付着度合が平均的(5段階中3)なものの平均価格(A/C/Z-R3)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年1月末TTS相場。
24年11月の牛肉輸出量、トルコとアルジェリア向けが大幅増
2024年11月の牛肉輸出量は、4万594トン(前年同月比4.9%減)とやや減少した(表1)。同年1〜11月の累計牛肉輸出量は44万2964トン(前年同期比11.8%増)となった。冷蔵牛肉の主要輸出先である英国向けなどは減少したものの、家畜疾病への懸念などから生体牛の輸入を制限しているトルコ(同78.4%増)や国内需要が高まるアルジェリア(同約190倍)向けが輸出量全体を押し上げた。
同年11月の牛肉輸入量は、アルゼンチンの牛肉輸出規制の緩和などにより、2万4195トン(前年同月比13.9%増)とかなり大きく増加した(表2)。
(調査情報部 藤岡 洋太)