25年1月の肉牛価格、旺盛な需要や取引頭数の増加を背景に乱高下
豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、豪州の肉牛生体取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、2025年初めから急騰し、一時、1キログラム当たり700豪セント(685円:1豪ドル=97.87円(注))を超えたものの、直近1月30日時点では、同643豪セント(629円)となった(図1)。現地報道によると、1月初旬の急騰は、フィードロット向けの穀物価格が低下し、穀物肥育農家の購買意欲が高まっていること、豪ドル安で推移する為替相場が輸出市場での豪州産牛肉の競争力を高めていることによる強い需要などが要因とされ、下旬の下落は、好調な市場価格を背景とした取引頭数の増加によるものとされている。
肉牛生産に影響する今後の降雨予想について豪州気象庁(BOM)は、25年2〜4月にかけて主要肉用牛生産地域であるクイーンズランド州、ニューサウスウェールズ州を中心に平年以上の降雨を予想している(図2)。このため、牧草の確保が容易となることで牧草肥育農家からの需要増が想定される。一方、複数の農業系アナリストは、市場に供給される牛の供給量が増えるため、7月まで価格は軟化して推移すると予測している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年1月末TTS相場。
25年1月の成牛と畜頭数、月初から高水準を維持して推移
2025年1月第4週の成牛と畜頭数は、14万908頭(前年同期比47.0%増)と、干ばつによる牛群淘汰でと畜頭数が特に多かった20年以来の高水準となった(図3)。
現地報道によると、食肉加工業者は、米国向け加工用牛肉(90CL:赤身率90%のひき肉用)価格が記録的水準であることなどを背景に、年初取引から牛肉加工代金を引き上げている。今年の食肉加工業者の受け入れ能力は、1週間当たり15万〜15万5000頭と予測されており、昨年よりわずかに増加している。一方で業界内では、今年はさらなる豪州産牛肉の生産・輸出増が期待されていることから、この受け入れ能力では不十分との声もあり、労働力の確保は依然として大きな課題と認識されている。
24年の牛肉輸出量は過去最高を更新、25年も堅調に推移する見通し
豪州農林水産省(DAFF)によると、2024年12月の牛肉輸出量は、12万7393トン(前年同月比19.4%増)と大幅に増加し、また、24年の累計(1〜12月)では134万3568トン(前年比24.1%増)となり、大規模な干ばつにより過去最高となった14年の128万7008トンを更新した(表)。通常、12月は食肉処理施設の営業日が少なく閑散期とされているが、24年12月の牛肉輸出量は年間で3番目の水準を記録しており、輸出記録更新に貢献した。
輸出先別に見ると、米国向けの年間輸出量は、39万4716トン(前年同期比60.4%増)を記録し、24年最大の輸出先となった。これは、米国における牛肉需給のひっ迫に伴う価格上昇を背景に、豪州産牛肉への需要が増していることを示している。また、第2位の日本向けは24万7604トン(同19.7%増)、第3位の韓国向けは20万545トン(同6.2%増)となり、いずれも需給がひっ迫している米国産牛肉の代替として、豪州産牛肉への引き合いの高まりが要因とされている。第4位の中国向けは19万3228トン(同6.3%減)と前年から順位を下げたものの、単月で見ると2カ月連続で前月比を上回るなど、需要に改善の兆しがみられている。
МLAが25年1月29日に発表した「世界の食肉市場に関する最新報告」によると、25年の牛肉輸出見通しとして、(1)生活費の高騰で競争力のある価格帯が求められていること、(2)米国産とニュージーランド産牛肉の生産量と輸出量は今後数年間減少が続くと予測され、豪州産牛肉の市場シェア(占有率)拡大の機会があること、(3)豪州の食肉産業は持続可能性に関する目標を掲げ、世界のニーズに応える準備があることから堅調に推移すると分析されている。
(調査情報部 国際調査グループ)