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海外需給【牛肉/NZ】畜産の情報 2025年3月号

24/25年度も米国向け牛肉輸出が堅調

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24年11月の牛と畜頭数、飼養頭数の減少から前年同月比14.4%減
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2024年11月の牛と畜頭数は23万909頭(前年同月比14.4%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図)。と畜頭数の内訳では、去勢牛が7万810頭(同17.1%減)、未経産牛が6万631頭(同14.3%減)、経産牛が3万4553頭(同17.6%減)、雄牛が6万4915頭(同9.5%減)といずれも減少した。また、24/25年度(10月〜翌9月)の開始2カ月(10〜11月)の累計でも、41万4282頭(前年同期比7.0%減)とかなりの程度減少した。この要因として、22/23年度に同国内の一部地域で発生した干ばつの影響から生産者が早期出荷や繁殖雌牛の淘汰とうたを進めたことで、飼養頭数が減少し、牛群回復に至っていないことが挙げられる。また、生産者支払乳価が高い水準で推移していることで、酪農部門での保留傾向が強まっていることも影響しているとみられる。


 
 24年12月の牛肉輸出量、前年同月比5.1%減も米国向けは増加
 Stats NZによると、2024年12月の牛肉輸出量は5万104トン(前年同月比5.1%減)と前年同月をやや下回った(表1)。輸出先別に見ると、米国向けは2万600トン(同5.7%増)とやや増加した一方で、中国向けは1万5919トン(同24.9%減)と大幅に減少した。中国向けは、同国内でのと畜頭数増加による牛肉需給の緩和から減少した一方、米国向けは同国内の干ばつの影響などから飼養頭数が減少して輸入牛肉への需要が高まっており、今後も加工用を中心に堅調な輸出が続くと見込まれている。
 また、日本向けは1920トン(同44.8%減)、2024/25年度10〜12月までの累計でも5228トン(前年同期比31.3%減)と、いずれも大幅に減少している。前年度は豪州産の加工向け牛肉の代替としてニュージーランド産牛肉への引き合いが強かったが、豪州産の生産量が高水準で推移しており日本向け輸出を増やしていることから、ニュージーランド産は減少したと考えられる。

 
24/25年度の牛肉生産量と輸出量、と畜頭数の減少で前年割れの見込み
 ビーフ・アンド・ラム・ニュージーランド(BLNZ)が公表した直近の2024/25年度牛肉需給見通しによると、同年度の輸出向け牛と畜頭数は254万頭(前年度比3.3%減)とやや減少が見込まれている(表2)。BLNZはこの要因として、22/23年度に酪農部門において生産者支払乳価の下落や生産コストの高騰から経産牛や未経産牛の淘汰が進められたこと、また、干ばつの影響から生産者が早期出荷を進めたことで飼養頭数が減少し、牛群回復に至っていないことを挙げている。これにより、同年度の牛肉生産量は65万1000トン(同3.1%減)、牛肉輸出量も46万4000トン(同2.9%減)と、いずれも前年割れと見込まれている。

 
(調査情報部 田中 美宇)