公益社団法人日本食肉格付協会は、令和6年(1~12月)の「牛枝肉格付結果(種別・性別)」および「豚枝肉格付結果」(令和7年2月5日版)を公表した。
牛枝肉の格付実施率は、成牛のと畜頭数(110万9600頭)に対して85.0%と前年から0.7ポイント増加となった一方、豚枝肉の格付実施率は、と畜頭数(1626万5364頭)に対して76.5%と前年から0.6ポイント減少した。以下、畜種ごとの格付結果を紹介する。
【牛肉】「A-5」の格付頭数は5年連続で15等級の中で最多に
令和6年の牛のと畜頭数は111万5113頭と前年比で1.0%増加した。品種別に見ると、和牛は54万2318頭(前年比7.0%増)、乳用牛は30万6239頭(同4.3%減)、交雑牛は25万5631頭(同2.0%減)、外国種などを含むその他の牛は5412頭(同50.1%減)となった。
このような中、同年の牛枝肉の総格付頭数は、同年の成牛のと畜頭数が増加(同1.0%増)したことなどから、94万2866頭(同1.8%増)と前年をわずかに上回った。品種別の格付頭数を見ると、「和牛」は同7.3%増(52万3027頭)と前年を上回った一方、「交雑牛」は同1.7%減(24万1130頭)、「乳用牛」は同4.8%減(17万3733頭)、外国種などを含む「その他の牛」は同53.5%減(4976頭)と前年を下回った。
牛肉は、「歩留等級(A~C)」と「肉質等級(5~1)」を組み合わせた15段階で格付されている。歩留等級とは、枝肉から得られる部分肉の割合を評価し、部分肉歩留が標準より良いものはA、標準のものはB、標準より劣るものはCと判定される。また、肉質等級とは、(1)脂肪交雑(サシ)(2)肉の色沢(3)肉の締まりおよびきめ(4)脂肪の色沢と質―の4項目を5段階で評価し、四つの項目中、最も低い等級が肉質等級として判定される。
6年の全体における等級ごとの格付頭数の推移を見ると、「A-5」が30万6478頭(同13.2%増)と前年をかなり大きく上回り、5年連続で15等級の中で最多となった(図1)。全体に占める割合は、32.5%となり、前年から3.3ポイント増加した。「A-5」の内訳を見ると、和牛去勢が60.9%、和牛めすが37.6%と、和牛で約98.5%となっている。
「A-4」は、14万1833頭(同3.5%増)と前年をやや上回り、「A-5」に次いで多く、全体の15.0%を占めた。なお、5年まで「A-5」に次いで多かった「B-2」は、近年減少傾向が続いており、6年は、13万8815頭(同6.1%減)と前年をかなりの程度下回り、全体の14.7%を占めた。「B-2」のうち約4割を乳用牛去勢が占めており、乳用牛のと畜頭数の減少が「B-2」の格付頭数の減少の主な要因の一つとなっている。
6年の歩留等級別の格付構成比を平成27年と比較すると、全体に占める「A等級」の割合は55.2%と、11.0ポイント増加した(図2)。また、肉質等級別の格付構成比を見ると、全体に占める「5等級」の割合は33.0%と27年から19.4ポイント増加した一方、「4等級」は20.3%と同1.9ポイント減少した(図3)。
令和6年の品種別・性別の格付頭数を見ると、和牛去勢が27万7571頭(前年比3.3%増)と最も多く、次いで和牛めすが24万5247頭(同12.2%増)、交雑牛去勢が12万7194頭(同2.3%減)、乳牛去勢が12万2153頭(同4.3%減)、交雑牛めすが11万3908頭(同1.1%減)となった(図4)。
なお、品種別の割合は、和牛が55.5%(同2.9ポイント増)、交雑牛が25.6%(同0.9ポイント減)、乳用牛が18.4%(同1.3ポイント減)、その他の牛が0.5%(同0.7ポイント減)となった。
6年の品種別・性別ごとの格付構成割合を見ると、和牛去勢は、「A-5」が67.2%と、前年から4.2ポイント増加した一方、「A-4」は24.1%と同2.0ポイント、「A-3」は5.3%と同1.4ポイントそれぞれ減少した(図5)。なお、和牛去勢全体に占める「A等級」の割合は、97.5%(同0.7ポイント増)となった。
交雑牛去勢は、「B-3」が最も多く、34.0%と同0.4ポイント減少した(図6)。次いで多い「B-4」は18.9%と同2.3ポイント増加した一方、3番目に多い「B-2」は17.5%と同1.6ポイント減少した。なお、上位三つで全体の70.4%を占める。
乳用牛去勢は、「B-2」が最も多く、50.9%と同0.7ポイント減少した一方、次いで多い「C-2」は44.3%と同0.5ポイント増加した(図7)。なお、上位二つで全体の95.2%を占める。
【豚肉】6年の格付構成比、「上」が51.7%、「中」が32.3%
豚肉は、枝肉の重量および背脂肪の厚さ、外観(均称、肉づき、脂肪付着、仕上げ)、肉質(肉の締まりおよびきめ、肉の色沢、脂肪の色沢と質、脂肪の沈着)の基準に照らして、「極上」「上」「中」「並」「等外」の5等級に格付される。なお、令和5年1月より26年ぶりに改正された豚枝肉取引規格が適用されている(注)。
6年の豚枝肉の総格付頭数は、1244万541頭(前年比1.6%減)と前年をわずかに下回った(図8)。等級別の格付頭数を見ると、「上」が643万103頭(同2.9%減)と最も多く、次いで「中」が402万5245頭(同0.4%減)、「並」が137万4313頭(同0.4%増)、「等外」が46万979頭(同1.6%減)、「極上」は14万9901頭(同2.8%増)となった。
6年の等級別の格付構成比を見ると、「上」が51.7%(同0.7ポイント減)と最も多く、次いで「中」が32.3%(同0.3ポイント増)、「並」が11.0%(同0.2ポイント増)、「等外」が3.7%(同0.0ポイント減)、「極上」が1.2%(同0.0ポイント増)となった(図9)。
(畜産振興部 小森 香穂)