24年のEU豚肉生産量は前年比2.0%増もオランダの減産は続く
欧州委員会によると、2024年11月の豚肉生産量(EU27カ国)は、182万8550トン(前年同月比1.9%減)とわずかに減少したものの、24年1〜11月の豚肉生産量を見ると、前年同月を上回る月が多く1932万9380トン(前年同期比2.0%増)とわずかに増加した(図1)。
同期間の豚肉生産量を主要生産国別に見ると、オランダを除く主要生産国で豚肉生産量が増加した(表1)。デンマークの豚と畜頭数は前年同期比1.2%減とわずかに減少したものの、1頭当たりの枝肉重量が増加したことにより、豚肉生産量は同3.4%増となった。一方でオランダは、環境対策として政府が実施する畜産農家の廃業支援などにより、豚飼養頭数が減少傾向で推移(注1)しており、主要生産国の中で唯一、豚肉生産量が前年同期を下回った(同4.2%減)。
25年1月の豚枝肉卸売価格、ドイツでの口蹄疫発生を受けて下落
欧州委員会によると、2025年1月の豚枝肉卸売価格(EU27カ国)は、前年同月比10.6%安の1キログラム当たり1.84ユーロ(289円:1ユーロ=157.10円(注2))となった(図2)。25年1月10日のドイツでの口蹄疫発生により、英国などがドイツ産豚肉の輸入を停止したことで、EU域内の豚肉需給緩和の懸念から、豚枝肉卸売価格は口蹄疫発生前(24年12月30日の週)の同1.91ユーロ(300円)から25年1月20日の週の同1.79ユーロ(281円)に下落している(注3)。以降はほぼ横ばいが続いており、直近2月10日の週は同1.81ユーロ(284円)と前年同期比13.3%安となった。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年2月末TTS相場。
24年の豚肉輸出量は前年比4.4%減、中国向けがかなり大きく減少
欧州委員会によると、2024年のEU域外への豚肉輸出量(EU27カ国)は、200万5683トン(前年比4.4%減)とやや減少した(表2)。日本(同1.0%増)やフィリピン(同14.5%増)向けなどは増加したものの、中国の豚肉輸入需要が低迷する中、特に上半期(1〜6月)はEUの豚肉価格が高値で推移し価格競争力が低下したため、中国向けの輸出量は前年同期比28.1%減と大幅に減少したことが影響した。
一方、下半期(7〜12月)はEUの豚肉価格が軟化したことで、中国向けの豚肉輸出量は同1.0%増とわずかに増加したものの、年間では前年比15.4%減とかなり大きく減少した。
(調査情報部 藤岡 洋太)