生産量
令和7年3月の牛肉生産量(注1)は、2万8305トン(前年同月比1.4%減)と前年同月をわずかに下回った(図1)。品種別では、和牛は1万4526トン(同5.1%増)と前年同月をやや上回った一方、交雑種は7593トン(同1.7%減)とわずかに、乳用種は6141トン(同10.5%減)とかなりの程度、いずれも前年同月を下回った。
なお、過去5カ年の3月の平均生産量との比較では、0.8%増とわずかに上回る結果となった。
(注1)生産量の合計は、その他の牛、子牛を含む。
輸入量
3月の輸入量について、冷蔵品は、為替や現地価格の高止まりの影響などにより、主要輸入先を含むほとんどの輸入先からの輸入量が減少したことなどから、1万3332トン(前年同月比26.6%減)と前年同月を大幅に下回った(図2)。冷凍品は、為替相場や現地価格の高止まりの影響に加え、輸入品在庫量が比較的高水準であったことなどにより、主要輸入先を含むほとんどの輸入先からの輸入量が減少したことなどから、1万7597トン(同12.8%減)と前年同月をかなり大きく下回った(図3)。この結果、輸入量の合計(注2)でも、3万955トン(同19.3%減)と前年同月を大幅に下回った。
なお、過去5カ年の3月の平均輸入量との比較でも、冷蔵品は33.7%減と大幅に、冷凍品は13.9%減とかなり大きく、いずれも下回る結果となった。
(注2)輸入量の合計は、煮沸肉、ほほ肉、頭肉を含む。
家計消費量等
3月の牛肉の家計消費量(全国1人当たり)(注3)は148グラム(前年同月比8.7%減)と前年同月をかなりの程度下回った(総務省「家計調査」)。
なお、過去5カ年の3月の平均消費量との比較でも、17.4%減と大幅に下回る結果となった。
3月の外食産業全体の売上高は、月初の降雪などの影響を受けた業態もあったが、後半は歓送迎会や春休みの家族客の需要もあった他、3月として過去最高となった訪日外客数などから、前年同月比7.0%増と前年同月をかなりの程度上回った(一般社団法人日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」)。このうち、食肉の取り扱いが多いとされる業態として、ハンバーガー店を含むファストフードの洋風は、定番の季節商品や期間限定の新商品、値引きキャンペーンなどが好調で、同6.3%増と前年同月をかなりの程度上回った。また、牛丼店を含むファストフードの和風は、客単価の上昇などにより、同10.8%増と前年同月をかなりの程度上回った。ファミリーレストランの焼き肉は、価格改定で客単価は前月より上昇したが、これまで若年層や家族客に支持されてきた食べ放題業態を中心に客足が伸び悩み、同0.7%増と前年同月をわずかに上回るにとどまった。
(注3)1世帯当たりの数値を当該月の世帯人数で除して算出。
推定期末在庫・推定出回り量
3月の推定期末在庫は、13万2208トン(前年同月比6.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った(図4)。このうち、国産品は1万518トン(同19.8%減)と前年同月を大幅に下回った一方、在庫の大半を占める輸入品は12万1690トン(同9.4%増)と前年同月をかなりの程度上回った。
推定出回り量は、5万9162トン(同16.7%減)と前年同月を大幅に下回った(図5)。このうち、国産品は2万6937トン(同2.6%増)と前年同月をわずかに上回った一方、輸入品は3万2225トン(同28.1%減)と前年同月を大幅に下回った。
(畜産振興部 丸吉 裕子)