令和6年度(令和6年4月〜令和7年3月)の食肉の畜種別の需給動向は以下の通り。
【牛肉】
生産量は、前年度をわずかに上回る
6年度の牛肉生産量は、35万3435トン(前年度比0.6%増)と前年度をわずかに上回った(表1)。品種別では、交雑種は9万3143トン(同2.0%減)とわずかに、乳用種は7万7895トン(同4.5%減)とやや、いずれも前年度を下回った一方、和牛は18万944トン(同5.8%増)と前年度をやや上回った。
輸入量は、前年度をわずかに上回る
6年度の牛肉輸入量は、50万6260トン(前年度比0.9%増)と5年ぶりに増加した。
主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、物価の上昇による消費者の生活防衛意識の高まりにより牛肉の国内需要が低迷する中、牛飼養頭数の減少などによる現地相場高などの影響により主に米国産が減少しており、18万6910トン(同6.3%減)と前年度をかなりの程度下回った。輸入先別に見ると、豪州産は9万1023トン(同2.1%減)とわずかに、米国産は7万9429トン(同12.8%減)とかなり大きく、いずれも前年度を下回った。その結果、シェアは、豪州が全体の48.7%、米国が同42.5%を占めた。
他方、主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品は、豪州産のうち主に加工用のひき材などに使用されるトリミングの輸入量が増加したことなどから、31万9102トン(同5.7%増)と前年度をやや上回った。輸入先別に見ると、豪州産は15万277トン(同17.5%増)と前年度を大幅に上回った一方、米国産は9万7133トン(同3.6%減)と前年度をやや下回った。その結果、シェアは、豪州が全体の47.1%、米国が同30.4%を占めた。
推定出回り量は、前年度をやや下回る
6年度の牛肉の推定出回り量は、物価の上昇による消費者の生活防衛意識の高まりもあり、84万1419トン(前年度比3.3%減)となり、5年連続で減少した。このうち、輸入品は、49万5799トン(同6.1%減)と前年度をかなりの程度下回った。一方、国産品は、34万5620トン(同1.0%増)と前年度をわずかに上回った。
年度末(7年3月)の推定期末在庫は、13万2208トン(同6.3%増)と前年度末をかなりの程度上回った。このうち、約9割を占める輸入品は12万1690トン(同9.4%増)と前年度末をかなりの程度上回った一方、国産品は1万518トン(同19.8%減)と前年度末を大幅に下回った。
【豚肉】
生産量は、前年度をわずかに下回る
6年度の豚肉生産量は、89万4786トン(前年度比1.5%減)と前年度をわずかに下回った(表2)。
輸入量は、前年度をかなりの程度上回る
6年度の豚肉輸入量は98万3276トン(前年度比7.5%増)と前年度をかなりの程度上回り、過去最大の輸入量となった。
主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、現地相場高や為替の影響などにより米国産が減少したことなどから、37万6866トン(同4.0%減)と前年度をやや下回った。輸入先別に見ると、カナダ産は19万3156トン(同6.6%増)と前年度をかなりの程度上回った一方、米国産は14万2922トン(同15.8%減)と前年度をかなり大きく下回った。その結果、シェアは、カナダが全体の51.3%、米国が同37.9%を占めた。
一方、主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品は、価格優位性のあるブラジル産が増加したことなどから、60万6284トン(同16.2%増)と前年度を大幅に上回った。輸入先別に見ると、ブラジル産は9万1936トン(同136.3%増)、米国産は7万6829トン(同39.9%増)、カナダ産は5万315トン(同26.4%増)とともに大幅に、スペイン産は17万8324トン(同8.7%増)とかなりの程度、いずれも前年度を上回った。一方、メキシコ産は6万5317トン(同20.7%減)と大幅に、デンマーク産は5万4767トン(同1.5%減)とわずかに、いずれも前年度を下回った。その結果、シェアは、スペインが全体の29.4%、ブラジルが同15.2%、米国が同12.7%、メキシコが同10.8%、デンマークが同9.0%、カナダが同8.3%を占めた。
推定出回り量は、前年度をわずかに上回る
6年度の豚肉の推定出回り量は、物価の上昇による牛肉からの需要のシフトなどから、184万9413トン(前年度比0.4%増)と前年度をわずかに上回った。このうち輸入品は、95万7280トン(同2.1%増)と前年度をわずかに上回った一方、国産品は89万2133トン(同1.3%減)と前年度をわずかに下回った。
年度末(7年3月)の推定期末在庫は、21万6539トン(同14.4%増)と前年度末をかなり大きく上回った。このうち、約9割を占める輸入品は19万2115トン(同15.6%増)とかなり大きく、国産品は2万4424トン(同5.7%増)とやや、いずれも前年度末を上回った。
【鶏肉】
生産量は、前年度をわずかに上回る
6年度の鶏肉生産量は、好調な鶏肉消費を背景に、171万1025トン(前年度比0.4%増)と、前年度をわずかに上回った(表3)。
輸入量は、前年度をわずかに上回る
6年度の鶏肉輸入量は、国内の節約志向を背景とした鶏肉需要により、61万8754トン(前年度比1.7%増)と前年度をわずかに上回った。
輸入先別に見ると、ブラジル産は42万9383トン(同1.6%増)とわずかに、タイ産は18万151トン(同4.1%増)とやや、いずれも前年度を上回った。その結果、シェアは、ブラジルが全体の69.4%、タイが同29.1%を占めた。
推定出回り量は、前年度をわずかに上回る
6年度の鶏肉の推定出回り量は、堅調な需要から生産量と輸入量が増加したことにより、233万8744トン(前年度比1.7%増)と前年度をわずかに上回った。このうち、主に加工用、外食・中食用に大部分が仕向けられる輸入品は61万6622トン(同1.7%増)、家計消費用に仕向けられる国産品は172万2122トン(同1.7%増)と、ともに前年度をわずかに上回った。
年度末(7年3月)の推定期末在庫は、15万7013トン(同5.4%減)と前年度末をやや下回った。このうち、約8割を占める輸入品は13万1242トン(同1.7%増)と前年度末をわずかに上回った一方、国産品は2万5771トン(同30.1%減)と前年度末を大幅に下回った。
(畜産振興部 小森 香穂)