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海外需給【牛肉/EU】畜産の情報 2025年6月号

枝肉価格が続伸、3月は25.6%高

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24年の牛肉生産量、6年ぶりに前年を上回る
 欧州委員会によると、2024年の牛肉生産量(EU27カ国)は657万5330トン(前年比3.0%増)とやや増加し、18年以来6年ぶりに前年を上回った(図1)。この要因として、牛飼養頭数が減少傾向で推移する中、(1)環境規制などにより乳用牛の淘汰とうたが進み、堅調な牛肉価格を背景に出荷頭数が増加して、牛と畜頭数が2235万5110頭(同2.0%)とわずかに増加したこと(2)飼料価格の下落などによる長期肥育の傾向から、1頭当たり枝肉重量が294.1キログラム(同1.0%増)と3年ぶりに294キログラムを超えたこと―が挙げられる。
 国別の状況を見ると、生産量の増加が顕著となったポーランド(同23.8%増)とイタリア(同6.3%増)は、いずれもトルコ向け輸出が旺盛となり、また、スペイン(同2.3%増)は24年2月からアルジェリア向け輸出が開始されるなど、域外需要の高まりも生産量の増加に寄与したとみられる。
 






 
 
25年3月の枝肉卸売価格、前年同月比25.6%高
 2025年3月の牛枝肉平均卸売価格(注1)は、1キログラム当たり6.31ユーロ(1034円、1ユーロ:163.67円(注2)、前年同月比25.6%高)と記録的な高値が続いている(図2)。欧州委員会によると、環境規制などにより中長期的な牛飼養頭数は減少傾向にある中、域内外での牛肉需要が堅調であることが牛肉価格の上昇につながったとしている。
 
(注1)若雄牛(A)、去勢牛(C)および若齢牛(Z)のうち枝肉の格付けが上(R)、枝肉の脂肪の付着度合が平均的(5段階中3)なものの平均価格(A/C/Z-R3)。
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年4月末TTS相場。
 



 
24年の牛肉輸出量、輸入量はともに増加
 2024年牛肉輸出量は、48万450トン(前年比11.3%増)とかなり大きく増加した(表2)。中でも、輸出の7割を占める冷蔵牛肉は、最大の輸出先の英国向けはやや減少(同5.5%減)したものの、トルコ向け(同71.1%増)やアルジェリア向け(同74.2倍)の増加がけん引した。
 また、同年の牛肉輸入量は、27万2196トン(同8.3%増)とかなりの程度増加した(表3)。域内の牛肉価格の高騰やアルゼンチン産牛肉輸入規制の緩和などにより、輸入の3分の2を占める冷蔵牛肉(同4.8%増)、そして冷凍牛肉(同15.9%増)ともに増えた。
 






 
 
(調査情報部 藤岡 洋太)