24年の牛と畜頭数および牛肉生産量は過去最大
ブラジル地理統計院(IBGE)の統計資料によると、2024年の牛と畜頭数は3927万5000頭(前年比15.2%増)、牛肉生産量は1023万8000トン(同14.2%増)と、いずれも前年をかなり大きく上回り、IBGEが1997年に統計を取り始めて以来、最大となった(図1)。州別のと畜頭数を見ると、中西部マットグロッソ州(と畜頭数全体の18.1%)が最も多く、中西部ゴイアス州(同10.2%)、南東部サンパウロ州(同10.2%)と続いている。
と畜頭数および牛肉生産量がいずれも過去最大を記録した要因として、21年から始まった牛群の拡大期に並行する形で、中国向けなどを中心とした輸出需要の伸長が挙げられる。
一方、米国農務省(USDA)は、25年のブラジルの牛肉生産量について、輸出需要は好調ながらも、と畜頭数の増加により牛飼養頭数が減少していることから、雌牛を中心に生産者の保留傾向が高まることで、牛肉生産量は前年並みにとどまると見込んでいる。
24年の牛肉輸出量は過去最大、25年第1四半期も好調を維持
ブラジル開発商工サービス省貿易局(SECEX)によると、2024年の牛肉輸出量は、254万5759トン(前年比26.9%増)と前年を大幅に上回り、SECEXが1997年に統計を取り始めて以来、最大となった(表)。一方、輸出単価は1キログラム当たり4.58米ドル(657円:1米ドル=143.57円(注)、同3.3%安)とやや低下し、結果として、輸出額は過去最大であった22年にはわずかに及ばなかった。
輸出先別に見ると、輸出量全体の5割以上を占める中国向けは132万2663トン(同10.6%増)と前年をかなりの程度上回ったほか、米国など上位輸出先も増加した(図2)。レアル安で推移する為替相場に加え、米国での牛肉生産量減少により同国向け輸出量の大幅な増加(同93.8%増)や、各国が輸入先を米国からブラジルに切り替えたことなども増加を後押ししたとみられている。
25年第1四半期(1〜3月)の牛肉輸出量は、58万6307トン(前年同期比11.4%増)とかなり大きく増加し、好調を維持している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年4月末のTTS相場および現地参考為替相場(Selling)。
25年肥育牛価格、前年から一転して高水準で推移
サンパウロ大学農学部応用経済研究所(CEPEA)によると、2025年4月23日時点の肥育牛価格は1キログラム当たり21.73レアル(558円:1レアル=25.70円(注)、前年同日比39.3%高)となった(図3)。
24年の肥育牛価格は、6月まで下落傾向で推移していたが、それ以降は海外からの需要が堅調であることなどから一転して上昇傾向となり、24年11月27日には、SECEXが1997年に統計を取り始めて以来、最高値となる同23.51レアル(604円、同45.9%高)を記録した。その後は反発して下落したものの、インフレの影響もあり、25年は高水準で推移している。
(調査情報部 原田 祥太)