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海外需給【豚肉/中国】畜産の情報 2025年6月号

豚肉価格は下落傾向も前年比で高値を維持、豚肉輸入量は増加

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25年3月末の繁殖雌豚頭数、前年同月比1.2%増
 中国農業農村部によると、2025年3月末時点の繁殖雌豚頭数は4039万頭(前年同月比1.2%増)となった(図1)。この頭数は、同部が最適な水準としている3900万頭を3.6%上回っている。
 



 
25年3月の豚と畜頭数、前年同月比20.4%増
 2025年3月の豚と畜頭数は、3063万頭(前年同月比20.4%増)と大幅に増加した(図2)。この要因として、中国農業農村部は25年3月および4月に公表した「農産物需給動向分析月報」で、24年5月以降に繁殖雌豚頭数の増加とそれに伴う子豚の出生頭数の増加がみられた中で、これらの豚のと畜出荷時期を迎えていることを挙げている。また、子豚の生産頭数の増加について、繁殖雌豚1頭当たりの離乳頭数の増加も要因とする報道もある。
 



 
25年3月の豚肉小売価格、前月比3.9%安
 2025年3月の豚肉小売価格は、前月比3.9%安の1キログラム当たり26.4元(526円:1元=19.91円(注1)、前年同月比5.8%高)となった(図3)。前月からの豚肉価格の下落について現地関係者は、旧正月(春節、25年は1月29日)後の低需要期における出荷頭数の増加と市場への豚肉供給量の増加が要因とみているが、まだ前年の水準は上回っている状況である。
 一方、豚肉生産にも影響する同月の子豚価格は、前月比2.9%高の同37.2元(741円、前年同月比16.0%高)となった。この要因について現地関係者は、養豚業者が豚肉の需要期である旧正月に向けて肥育豚を出荷し、その後も出荷適期となった肥育豚の出荷が続いたことで、肥育もと豚の補充意欲が高まったためとしている。
 
(注1)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年4月末TTS相場。




 
 
25年1〜3月の豚肉輸入量、前年同期比7.0%増
 2025年1〜3月の豚肉輸入量は27万909トン(前年同期比7.0%増)となり、ブラジルを除くすべての主要輸入先で前年同期を上回った(表)。この要因について現地関係者は、1月末の旧正月に向けて豚肉需要が高まる中、国産豚肉に比べて価格優位性のある輸入豚肉の引き合いが強まったためとしている。
 なお、輸入豚肉については、25年3月以降、中国政府がカナダ産(注2)や米国産に追加関税を措置していることから、今後の輸入動向への影響が注目されている。
 
(注2)カナダ政府が2024年10月から中国製の電気自動車(EV)などに関税を課したことへの対抗措置として、カナダ産豚肉に25%の追加関税を措置している。
 

 
(調査情報部 平山 宗幸)