25年2月の生乳出荷量は前年同月比5.7%減
欧州委員会によると、2025年2月の生乳出荷量(EU27カ国)は1091万3000トン(前年同月比5.7%減)と前年同月をやや下回った(表、図1)。主要生産国別に見ると、ドイツ(同6.6%減)、フランス(同7.3%減)、オランダ(同5.9%減)、ポーランド(同1.8%減)など上位4カ国をはじめ、すべての主要生産国で前年同月を下回った。これは、乳用経産牛飼養頭数の減少や、うるう年であった前年に比べて今年は日数が1日少なかったことが影響したとみられている。
一方、同月の生乳の成分含有割合(EU27カ国の平均)は、乳脂肪分割合(同1.8%増)、乳たんぱく質割合(同0.8%増)ともに前年同月をわずかに上回った。
25年3月の生乳取引価格は前年同月比15.5%高
欧州委員会によると、2025年3月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり53.65ユーロ(1キログラム当たり87.8円:1ユーロ=163.67円(注)、前年同月比15.5%高)と11カ月連続で前年同月を上回った(図2)。引き続き、高水準にあるバターなどの乳製品価格にけん引される形で好調を維持している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年4月末TTS相場。
25年4月第4週のバター価格は前年同期比28.7%高
欧州委員会によると、2025年4月20日の週の製品別乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり739ユーロ(1キログラム当たり1210円、前年同期比28.7%高)と前年同期を大幅に上回り、高値を継続している。また、チーズは同463ユーロ(同758円、同18.1%高)と同じく前年同期を大幅に上回ったが、前月同期比では1.2%安とわずかに下落した。さらに、全粉乳は同440ユーロ(同720円、同20.8%高)、脱脂粉乳は同245ユーロ(同401円、同2.6%高)といずれも前年同期を上回った(図3)。
堅調な域内価格やユーロ高などを背景に輸出競争力は低下している。なお、現地業界紙によれば、25年1月中旬のドイツ、25年3月の東欧でいずれも発生した口蹄疫については、現段階で欧州の乳製品価格に影響を及ぼしていないとみられている。
(調査情報部 渡辺 淳一)