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海外需給【飼料/中国】畜産の情報 2025年6月号

トウモロコシおよび大豆の価格動向

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25年3月の国産トウモロコシ価格、国内の需要を反映してわずかに上昇
 中国農業農村部は2025年4月23日、「農産物需給動向分析月報(2025年3月)」を公表した。この中で、25年3月の国産トウモロコシ価格は前月からわずかに上昇した(図1)。同月のトウモロコシ需給を見ると、政府系企業による買い入れが続く中で、飼料需要の高まりなどを背景とした飼料製造企業などによる在庫拡充に向けた活発な購入も報告されている。このため、国産トウモロコシの販売状況は前年に比べて速いペースとなり、主産地からの供給量が減少していることも、価格の上昇を後押ししている。短期的には、買入在庫を放出する可能性はあるものの、高い需要を反映して国産トウモロコシ価格は引き続き上昇すると見込まれている。
 輸入トウモロコシ価格を見ると、養豚主産地の中国南部向け飼料原料集積地である広東かんとん広東省黄埔こうほ港到着は、25年3月が1キログラム当たり2.18元(43円:1元=19.91円(注)、前月比5.2%安)とやや下落した。また、同月の国産トウモロコシ価格(東北部産の同港到着価格)は同2.26元(45円、同0.9%高)とわずかに上昇したことで、再び輸入トウモロコシ価格を上回った。
 



 
25年3月の国産大豆価格、飼料向け需要の増加からわずかに上昇
 2025年3月の国産大豆価格は、前月からわずかに上昇した(図2)。同月の大豆需給を見ると、飼料向けの大豆油かす需要の増加から、搾油企業の利益率が改善されたことで、市場取引量増加が報告されている。また、主産地である東北地方の大豆在庫が最盛期の1割と低いことも、価格の上昇を後押ししている。短期的には、産地の在庫水準は低いものの、気温の上昇に伴い大豆加工製品の需要が減少に向かうことで、国産大豆価格は安定して推移すると見込まれている。
 各地の価格動向を見ると、主産地である黒竜江こくりゅうこう省の食用向け国産大豆平均取引価格は、25年3月が1キログラム当たり3.92元(78円、前年同月比15.3%安)と前月に続き上昇したものの、前年同月を大幅に下回った。また、大豆の国内指標価格の一つとなる山東さんとう省の国産大豆価格は、同4.44元(88円、同14.3%安)と同じく上昇したものの、前年同月をかなり大きく下回った。同月の輸入大豆価格が同3.58元(71円)と下がったことで、輸入と国産の価格差は前月の同0.50元(10円)から同0.86元(17円)に拡大した。
 
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年4月末TTS相場。
 



 
24/25年度のトウモロコシ輸入量を下方修正、大豆は据え置き
 中国農業農村部は2025年4月10日、最新の「中国農産物需給状況分析」を公表した。この中で、24/25年度(10月〜翌9月)のトウモロコシ輸入量は、前月から200万トン下方修正の700万トン(前年度比70.1%減)に見直された(表1)。
 これについて同部は、今年に入り輸入量が低水準にあることを踏まえたものとしている。また、中国が米国産トウモロコシに対して追加関税を課したため、米国産トウモロコシ輸入量の減少を予想するとともに、今後の国際貿易をめぐる政策動向にも注目が必要としている。
 一方、24/25年度の大豆輸入量は、前月から据え置きの9460万トン(同9.7%減)とされた(表2)。
 





 
 
(調査情報部 横田 徹)