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国内需給【牛乳・乳製品】畜産の情報 2025年8月号

7年5月の全国の生乳生産量、3カ月連続で前年同月を上回る

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北海道の生乳生産量、前年同月比2.2%増
 令和7年5月の生乳生産量は、66万3438トン(前年同月比1.2%増)と3カ月連続で前年同月を上回り、前年2月がうるう年であった影響を除くと実質10カ月連続のプラスとなった(図1)。地域別では、北海道が37万9445トン(同2.2%増)となり、増加率は縮小するも、10カ月連続で前年同月を上回った。一方、都府県では28万3993トン(同0.2%減)と、11カ月連続で前年割れとなった。



 
 5月の生乳処理量を用途別に見ると、牛乳等向けは32万8482トン(同0.3%減)と、2カ月連続で前年同月並みとなった。このうち、業務用向けについては2万3649トン(同0.8%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。
 乳製品向けは33万1330トン(同3.0%増)と3カ月連続で前年同月を上回った。これを品目別に見ると、クリーム向けは6万1542トン(同1.9%増)と4カ月ぶりに上回り、チーズ向けは4万1488トン(同0.8%増)と3カ月連続で上回った。また、脱脂粉乳・バター等向けは、18万373トン(同3.0%増)となり、10カ月連続で前年同月を上回った(農畜産業振興機構調べ「交付対象事業者別の販売生乳数量等」)。
 
全国の牛乳生産量、3カ月ぶりに前年同月を下回る
 5月の牛乳等生産量を見ると、飲用牛乳等のうち牛乳は、26万2714キロリットル(前年同月比0.6%減)と3カ月ぶりに前年同月を下回った。また、成分調整牛乳は前年割れが続いており、1万7361キロリットル(同6.7%減)とかなりの程度下回った。加工乳についても、1万1449キロリットル(同7.2%減)と3カ月連続で下回った。
 はっ酵乳は8万9916キロリットル(同0.3%減)と11カ月ぶりに下回った。
 
5月のバター在庫量、前年同月比11.5%増
 5月のバターの生産量は7401トン(前年同月比3.9%増)と、生乳生産量の増加に伴い3カ月連続で前年同月を上回り、前年2月のうるう年を勘案すると実質10カ月連続での増加となった(図2)。出回り量も6691トン(同3.4%増)と前年同月を3カ月連続で上回った(農畜産業振興機構調べ)。在庫量については、9カ月連続で前年同月を上回り、5月末は3万1144トン(同11.5%増)となった(図3)。
 






 
5月の脱脂粉乳生産量、前年同月比4.4%増
 5月の脱脂粉乳の生産量は、バターと同様、1万5526トン(前年同月比4.4%増)と3カ月連続で前年同月を上回った(図4)。一方、出回り量は1万880トン(同4.8%減)と4カ月連続で下回った(農畜産業振興機構調べ)。これにより、5月末の在庫量は、6万603トン(同11.2%増)と、6カ月連続で前年同月を上回り、1年9カ月ぶりに6万トン台となった(図5)。
 




 
 
7年度の指定乳製品等の輸入枠数量据え置き
 農林水産省は令和7年6月20日、7年度の国家貿易による指定乳製品等の輸入枠数量の検証結果を発表した。これによると、バターの需要は業務用を中心に堅調ではあるものの、業界および関係者は乳価改定の影響により7年度のバター出回り量は6年度を下回ると見込む一方、直近の生乳生産量が1月時点の業界見通しよりも上振れしていることから、7年度末のバター在庫量は6年度末を上回ると見通している。このような状況を踏まえると、現時点でバターについて、本年12月の最需要期までの供給に大きな支障が生じるとも在庫が過剰となるとも積極的に評価する状況にないことから、7年度の輸入枠数量(生乳換算で13万7000トン)(注)を据え置くこととした。当機構は、今回の検証結果を踏まえ、引き続きバターなどの入札を実施する予定である。
 
(注)品目別の内訳は、『畜産の情報』2025年3月号「6年12月の全国の生乳生産量、5カ月連続で前年同月を上回る」(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_003619.html)をご参照ください。
 
(酪農乳業部 田中 麻紀)