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海外需給【牛肉/米国】畜産の情報 2025年8月号

25年5月の牛肉生産量はかなりの程度減少、肥育牛価格は高値で推移

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25年5月の牛肉生産量は前年同月比8.7%減
 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、2025年5月のフィードロット導入頭数は188万6000頭(前年同月比7.8%減)、出荷頭数は175万8000頭(同10.1%減)と、いずれもかなりの程度減少した。導入頭数の減少については、牛飼養頭数の減少に加え、一部地域で未経産牛が保留されていることや、メキシコからの肥育もと牛の輸入停止の影響などとみられる(注1)。この結果、同年6月1日時点のフィードロット飼養頭数は1144万2000頭(同1.2%減)となった。
 このような中、5月の牛と畜頭数は244万9000頭(同10.7%減)とかなりの程度減少した。一方、同月の1頭当たり枝肉重量は395.5キログラム(同2.3%増)とわずかに増加し、同月の牛肉生産量は96万3000トン(同8.7%減)とかなりの程度減少した(図1)。
 
(注1)詳細は海外情報「米国はメキシコからの生体牛の輸入を再度停止(米国)(令和7年5月21日発)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004112.html)をご参照ください。
 



 
25年5月の肥育牛価格、前年同月比20.4%高
 米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2025年5月の肥育牛価格は、と畜頭数の減少などから100ポンド当たり227.57米ドル(1キログラム当たり732円:1米ドル=145.81円(注2)、前年同月比20.4%高)と前年同月を大幅に上回り、引き続き高い水準で推移している(図2)。同月の牛肉卸売価格(カットアウトバリュー(注3))は、同352.84米ドル(同1134円、15.8%高)と前年同月をかなり大きく上回った。
 
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
(注3)各部分肉の卸売価格を1頭分の枝肉に再構成した卸売指標価格。
 



 
25年4月の牛肉輸出量は前年同月比8.6%減
 USDA/ERSによると、2025年4月の牛肉輸出量は10万7599トン(前年同月比8.6%減)とかなりの程度減少し、同年1〜4月の累計では、43万1162トン(同4.2%減)とやや減少した(表)。
 4月の輸出量について輸出先別に見ると、韓国向けは2万8635トン(同15.3%増)とかなり大きく増加し、日本向けは2万7300トン(同8.1%増)とかなりの程度増加した。一方、中国向けは6397トン(同67.7%減)と大幅に減少した。中国向けについては、4月11日に追加関税が145%まで引き上げられた(注4)ことに加え、中国海関総署(GACC)による米国内の中国向け牛肉輸出施設再認定の動きが見られない中で(注5)、輸出量の減少につながった。
 
(注4)4月11日に125%の追加関税が課され、それまでの追加関税と合わせて145%となった。詳細は海外情報「中国政府、農畜産物を含むすべての米国産輸入品に125%の追加関税(中国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004086.html)をご参照ください。なお、同関税は5月12日に30%への引き下げが発表された。
(注5)5年ごとの認可登録の更新時期を迎えていた3月、GACCにより豚肉・鶏肉の輸出施設の認可登録が更新された一方で、牛肉の輸出施設の一部については未更新の状況が続いている。詳細は海外情報「米国農務省、停止状態の中国向け食肉輸出認可施設の登録更新を公表(米国)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004076.html)をご参照ください。
 



 
(調査情報部 小林 大祐)