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海外需給【牛肉/カナダ】畜産の情報 2025年8月号

24年の牛肉輸出量は前年比0.9%減、25年は前年並み

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25年1月の総飼養頭数は前年比0.7%減
 カナダ統計局(Statistics Canada)によると、2025年1月1日時点の牛の総飼養頭数は1094万頭(前年比0.7%減)とわずかに減少した(表1)。前年と比較して干ばつは改善しているものの、肥育牛価格が高値で推移する中、牛の出荷を選択する生産者もいるため、飼養頭数は減少傾向にある。内訳を見ると、繁殖雌牛(肉用牛)が同1.2%減となった一方、未経産牛(肉用牛)が同0.8%増となり、わずかではあるが未経産牛を保留する動きも見られる。しかし、子牛は同0.3%減となっていることなどから、短期的には増頭は見込めないと予測されている。
 米国農務省海外農業局 (USDA/FAS)によると、24年の牛と畜頭数は342万頭(同3.2%減)となり、同年の牛肉生産量は131万トン(同1.2%減)とわずかに減少した。25年の牛肉生産量についてUSDA/FASは、飼養頭数の減少が見込まれる中で、前年比0.8%減の130万トンと予測している。
 


 
25年4月の肥育牛価格、前年同月比13.3%高
 CanFax(注1)によると、2025年4月の肥育牛価格は、100ポンド当たり286.67カナダドル(1キログラム当たり678円:1カナダドル=107.29円(注2)、前年同月比13.3%高)とかなり大きく上昇した(図)。北米における堅調な牛肉需要と肥育牛供給の減少を背景に、25年の肥育牛価格は前年を上回る水準で推移している。
 
(注1)カナダ肉用牛生産者協会(CCA)の市況分析部門
(注2)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
 



 
24年の牛肉輸出量、前年比0.9%減
 カナダ農業・農産食料省(AAFC)によると、2024年の牛肉輸出量は49万4694トン(前年比0.9%減)、輸出額は49億3326万カナダドル(5292億8979万円、同1.8%減)と、いずれもわずかに減少した(表2)。輸出量上位3カ国向けの輸出量がいずれも減少しており、特に輸出先第3位のメキシコ向けは前年に比べてペソ安で推移した為替相場の影響などから、2万8861トン(同10.7%減)とかなりの程度減少した。なお、中国向けは、21年末のカナダ国内での非定型BSEの報告以降、輸出停止が続いている。
 USDA/FASは25年の牛肉輸出量について、米ドルに対するカナダドル安に伴う輸出競争力の増加が生産量減少の影響を相殺することにより、前年並みで推移すると予測している。 



 
(調査情報部 大西 未来)