25年4月の生乳出荷量は前年同月比0.5%増
欧州委員会によると、2025年4月の生乳出荷量(EU27カ国)は1298万トン(前年同月比0.5%増)と、わずかながらも5カ月ぶりに増加した(表、図1)。国別に見ると、フランス(同1.8%増)は5カ月ぶりに、アイルランド(同12.6%増)は良好な放牧環境に恵まれ、それぞれ前年同月を上回り、ポーランド(同0.3%増)は前年同月並みながらも緩やかな増産が長期的に継続している。一方、ドイツ(同1.1%減)とイタリア(同1.9%減)は前年同月をわずかに下回ったものの、減少幅は前月に比べて縮小した。
現地関係者によると、増産の割合が最も大きいアイルランドでは、環境規制による飼養密度の抑制などから乳用後継牛が減少しているとされる。また、25年春先の肥育もと牛の需要の高まりにより、子牛の肉用牛としての販売の増加も懸念されている。
25年5月の生乳取引価格は前年同月比16.0%高
欧州委員会によると、2025年5月の生乳取引価格(EU27カ国の平均)は、100キログラム当たり53.34ユーロ(1キログラム当たり91.30円:1ユーロ=171.16円(注)、前年同月比16.0%高)と13カ月連続で前年同月を上回った(図2)。同価格は、高水準で推移するバターなどの乳製品価格にけん引される形で好調を維持している。
(注)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
25年6月第4週のバター価格は前年同期比15.8%高
欧州委員会によると、2025年6月22日の週の製品別乳製品価格(EU27カ国の平均)は、バターが100キログラム当たり739ユーロ(1キログラム当たり1265円、前年同期比15.8%高)、チーズが同458ユーロ(同784円、同18.2%高)、全粉乳が同437ユーロ(同748円、同14.6%高)と前年同期を大きく上回り、高値を継続している。また、脱脂粉乳は同249ユーロ(同426円、同1.5%安)と前年同期をわずかに下回った(図3)。
6月以降の季節的な生乳出荷量の減少と域内外からの堅調なチーズ需要により、バターに仕向けられる生乳が減少し、バター価格は高水準を維持している。
(調査情報部 渡辺 淳一)