畜産 畜産分野の各種業務の情報、情報誌「畜産の情報」の記事、統計資料など

ホーム > 畜産 > 畜産の情報 > バターおよびチーズの輸出量は増加、GDT平均価格も上昇

海外需給【牛乳・乳製品/NZ】畜産の情報 2025年8月号

バターおよびチーズの輸出量は増加、GDT平均価格も上昇

印刷ページ
25年5月の生乳生産量、前年同月比8.3%増
 ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2025年5月の生乳生産量は99万3000トン(前年同月比8.3%増)とかなりの程度増加し、5月としては過去最大級の水準となった(図1)。この結果、24/25年度(6月〜翌5月)の累計でも2162万3000トン(前年度比2.3%増)とわずかに増加した。この要因についてニュージーランド証券取引所(NZX)は、北島のワイカト地域など主要酪農地帯では、干ばつの影響で多くの生産者が例年より約4週間早く乾乳期に入った一方、南島は5月の降雨と気温上昇による良好な牧草生育が生乳生産に寄与したことで、全体としては増加につながったとしている。


 
 また、今後の生乳生産量の見通しとしてNZXは、NZ乳業大手フォンテラ社が提示した25/26年度の生産者支払乳価(注1)が高い水準であったため、酪農家の生産意欲が高まっていることなどから、6月以降に生乳生産量の増加として反映される可能性があるとしている。
 
(注1)海外情報「フォンテラ社、24/25年度乳価の据え置きと、25/26年度当初乳価を発表(NZ)」(https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_004130.html)をご参照ください。
 
25年5月のバターおよびバターオイルの輸出量、大幅に増加
 ニュージーランド統計局(Stats NZ)によると、2025年5月の乳製品輸出量は、主要4品目のうちバターおよびバターオイルとチーズでいずれも前年同月を上回った(表、図2)。品目別に見ると、バターおよびバターオイルはオランダ、サウジアラビア向けが、チーズは中国およびサウジアラビア向けがいずれも伸びたことで輸出量が増加した。




 
 
25年6月17日のGDT平均価格、バターおよびチーズが上昇
 2025年6月17日開催のGDT(注2)平均取引価格は、バターおよびチーズが前回開催時(25年6月3日)を上回った(図3)。中東情勢の激化とそれに伴う中東におけるバターなど乳脂肪需要の増加から、全乳製品の平均取引価格は1トン当たり4389米ドル(63万9960円、1米ドル=145.81円(注3)、前回比1.3%高)となった。
 
(注2)グローバルデイリートレード。月2回開催される電子オークションで、当該価格は乳製品の国際価格の指標とされている。
(注3)三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「月末・月中平均の為替相場」の2025年6月末TTS相場。
 




 
(調査情報部 田中 美宇)