ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は6月12日、2024/25年度第9回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を公表した(表1、図1、2)。この調査は、春植えの夏期作物(大豆、第1期作トウモロコシなど)や秋植えの冬期作物(第2期作・第3期作トウモロコシ、小麦、大麦、ライ麦など)の生産予測を毎月公表するものである。
24/25年度トウモロコシ生産量、前年度比11.0%増の見込み
2024/25年度のトウモロコシ生産量は、前回(2025年5月)より137万4100トン上方修正の1億2825万2700トン(前年度比11.0%増)と、前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。これは、作付面積(同1.8%増)と単収(同9.0%増)がいずれも前年度を上回ると見込まれることによる。この生産量は、CONABが統計を取り始めて以来、最大となった22/23年度に次ぐ水準となる。
内訳を見ると、全生産量の2割を占める第1期作の生産量は前回より13万3400トン上方修正の2482万1800トン(同8.1%増)と、前年度をかなりの程度上回ると見込まれている。第1期作は、5月末時点で作付面積全体の89.6%で収穫を終えた。ブラジル国内のほとんどの州で降雨量が少なかったため、収穫作業は円滑に進んだが、リオグランデ・ド・スル州は雨の影響で作業が停滞していた。
また、全生産量の8割を占める第2期作の生産量は前回より120万6100トン上方修正の1億100万9500トン(同12.2%増)と、前年度をかなり大きく上回ると見込まれている。第2期作は、マットグロッソ州、マットグロッソ・ド・スル州およびパラナ州で収穫が始まった。5月に降雨量が減少したことで、収穫作業が始まった地域にとっては作物の成熟が促されるなど、良い効果をもたらした。一方で、ミナス・ジェライス州、サンパウロ州およびゴイアス州の一部など播種作業が遅れた地域にとっては、成長を妨げる要因となった。
24/25年度のトウモロコシ需給を見ると、生産量が上方修正されたものの、エタノール用途としての国内需要が増加していることから、輸出量は前回と変わらず3400万トン(同11.7%減)と、前年度をかなり大きく下回ると見込まれている(表2)。
24/25年度大豆生産量、前年度比14.8%増と過去最大の見込み
2024/25年度の大豆生産量は、前回より126万4000トン上方修正の1億6960万5800トン(前年度比14.8%増)と、前年度をかなり大きく上回り、CONABが統計を取り始めて以来最大となった22/23年度の生産量を超えると見込まれている。これは、作付面積(同3.2%増)と単収(同11.3%増)がいずれも前年度を上回ると見込まれることによる。
収穫の進捗率は、6月初旬時点で作付面積全体の99.8%に達した。今期の収穫は、多くの地域で天候に恵まれたため、当初の予想を上回る収量を記録した。一方で、マットグロッソ・ド・スル州およびリオグランデ・ド・スル州は天候不順により収量や品質に影響が出ている。
24/25年度の大豆需給を見ると、生産量の上方修正から輸出量も前回より27万9500トン上方修正の1億624万2400トン(同7.5%増)と見込まれている(表3)。
(調査情報部 原田 祥太)